研究概要 |
ユーカリゲノムにおけるHis-Aspリン酸リレー関連因子遺伝子ファミリーの構成を把握するため、ゲノム配列、およびcDNA配列の調査をおこなった。まずゲノムプロジェクトで得られた配列情報を整理し、遺伝子領域を予測した。予測にはアノテーションパイプライン(Kazusa Annotation-production system)を用い、ゲノム配列上に当該遺伝子ファミリーに属する15ヒスチジンキナーゼ(HK)、8リン酸基転移メディエーター(HPt)、24レスポンスレギュレーター(RR)、について遺伝子構造領域を合計47予測した。EcRR4とEcRR5、EcHP3とEcHP5はゲノム上でタンデムに位置しており、これらの組は最近の遺伝子重複によって生じたと考えられる。HKsのcDNAクローンはシロイヌナズナのエチレンレセプター(ETR1,ETR2,EIN4)の3オルソログ、サイトカイニンレセプター(AHK3,CRE1)の3オルソログ、シグナル伝達系因子(CKI2)オルソログ、ファイトクロム(PHYA,PHYB)2オルソログについて配列を決定した。AHK3オルソログは2遺伝子存在する(73%identity)。CRE1のオルソログ(EuHK13)にはコード領域内のエキソン構成に違いがあり、CRE1の2つのエキソンにそれぞれイントロンの挿入が認められた。RRsとHPtのcDNAクローンについてはTypeAが3、TypeBが3、RR様因子が4遺伝子、AHP1ホモログの配列が決定された。スプライシングバリアントは、EcHK1,EcHK11,EcHK13,EcPHYA,EcPRR2,EcRR14,EcRR12で認められた。EcHK11(AHK3オルソログ)では、開始コドンを含む領域を選択的にスプライスアウトするバリアントが存在していることから、N末端の構造が異なる2種の翻訳産物の存在が予測される。
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