研究概要 |
申請者は電気生理学的、行動学的、免疫組織化学的手法を用い、中枢および末梢神経系における5HT2A,5HT3受容体の顎顔面部侵害受容における役割について検討した。 1)顎関節炎症モデルにおいて咬筋の5HT2A,5HT3受容体をそれぞれ拮抗薬でブロックしておく。続いて同部へのホルマリン刺激を行うと三叉神経脊髄路核尾側亜核に発現するFos陽性細胞数は有意に減少した。つまりこれら末梢における受容体は顎顔面部侵害受容反応に深く関係し、痙痛/痛覚過敏を促進させる役割のあることを示唆するものである。(Okamoto et al. Neuroscience 143.597-606.2006)。また顎関節の持続性炎症モデルラットでは後肢においても痛覚過敏を起こす事を確認した(Okamoto et al. Experimental Brain Research 170.358-367.2006)。 2)さらに顎関節非炎症モデルラットを用い、三叉神経脊髄路核尾側亜核の5HT2A受容体を活性化させておく。そして同部の侵害受容ニューロンの興奮性の変化を細胞外記録、およびFos免疫組織化学的手法を用い検索した。結果、咬筋へのホルマリン刺激、顔面皮膚への侵害機械刺激によって引き起こされる神経興奮はvehicle群と比較して有意に低下した。さらに大槽内への5HT2A受容体作動薬の投与しておくと、ホルマリンの咬筋刺激によって引き起こされる顎顔面部疼痛関連行動は有意に短縮した。つまり中枢神経系における5HT2A受容体活性は顎顔面部侵害受容反応を抑制する可能性を示唆するものである。 (現在、投稿中)。 以上の実験はmaleラットで行ったが、今後はfemaleラットを用い三叉神経脊髄路核尾側亜核の5HT2A受容体の役割がMaleと異なるか否かについて検索を行う。
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