研究課題/領域番号 |
17H02653
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
実験心理学
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
伊澤 栄一 慶應義塾大学, 文学部(三田), 教授 (10433731)
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研究分担者 |
茂木 一孝 麻布大学, 獣医学部, 准教授 (50347308)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2019年度)
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配分額 *注記 |
16,640千円 (直接経費: 12,800千円、間接経費: 3,840千円)
2019年度: 4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2018年度: 4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2017年度: 7,280千円 (直接経費: 5,600千円、間接経費: 1,680千円)
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キーワード | 情動 / 進化 / 利他性 / 脳 / 自律神経系 / 鳥類 / 比較認知 / 自律神経 / カラス / 心拍 / 優劣関係 |
研究成果の概要 |
本研究では,複雑な社会行動が進化している鳥類カラスを対象に,情動が介在する社会行動機能と生理機構の解明を行った.カラスの飼育群れ内および2個体間で生じる競合・宥和行動について,(1)行動機能,(2)行動調節機構,(3)自律神経系の関与を調べた.(1)では,飼育群れの社会行動の長期データから,同性個体間の利他的羽繕いが,優位性誇示の機能を持つことを発見した.(2)では,3個体同時交渉における個体間距離を解析し,1位個体の存在が,他の2個体間の距離を近づけることを見出した.(3)では,交渉中のカラスの心拍を計測し,優位個体との対面によって,劣位個体は副交感神経優位な活動になることを見出した.
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
哺乳類とは異なる進化を遂げた鳥類カラスは,社会行動の心理・生理メカニズムを進化の視点で理解する上でユニークで重要なモデルである.本研究では,カラスの社会行動について,群れ生態における役割,行動調節機構,神経調節機構,これら3つの側面から調べた.その結果,カラスが同性個体同士で行う羽繕い(毛繕い)は行為者の優位性誇示の役割があること,群れ内では最優位(1位)オスが近づくとそれ以外の個体間の距離が接近すること,優位オスと対峙中の劣位オスの心拍は低下し,副交感神経の作用があることを発見した.社会行動はその機能が独自に進化しながらも,身体と脳という共通の生物基盤をもつことの一端が明らかになった.
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