研究課題
基盤研究(B)
神経細胞どうしをつなぐ「シナプス」は、記憶の形成や種々の精神神経疾患に関わる重要な部位である。本計画では、私たちが独自で見出した新規分泌型シナプス形成因子であるC1qファミリー分子の機能的役割についてより深い理解を得ることができた。とりわけ、運動記憶を担う小脳の神経シナプス回路において、C1qファミリーメンバーであるCbln1やC1qL1が従来のシナプス形成因子にはないユニークな挙動を示すことを見出した(Neuron ’19; Nat Commun ’18)。本研究成果は、中枢シナプスにおけるC1qファミリー分子の普遍的かつ特異的動作原理を理解する上で貴重な情報を提供しうるものと推察される。
本研究の成果は、「シナプス形成・機能を担うC1qファミリー分子の普遍的かつ新しい動作原理」を確立するための有益な情報を提供しうるものと期待される。近年、シナプスは記憶の形成過程やアルツハイマー病や統合失調症をはじめとする様々な精神神経疾患の病態発現に深く関わる部位として、科学的のみならず臨床的にも注目されている。そのため、シナプス形成・機能の詳細な分子機構を追究した本研究の成果は、将来、種々の精神神経疾患や、認知症および加齢に伴う記憶障害への有効な治療開発につながる可能性も期待される。
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