研究課題
基盤研究(B)
ヒマラヤ山系にて飼育されている小型在来馬の遺伝的特性を明らかにすることを目的として2017年から2019年にかけて、ネパールのムスタン地方、ジュムラ地方、イラム地方において調査およびDNAサンプルの収集を行った。得られたDNAサンプルを用いてY染色体、ミトコンドリアDNA、毛色関連遺伝子の遺伝的多様性について調べたところ、Y染色体についてはきわめて特徴的なハプロタイプを持つ個体が存在すること、ミトコンドリアDNAについては他の在来馬と同様に多様性に富んでいること、毛色関連遺伝子では、祖先型の毛色である薄墨毛に関わるTBX3遺伝子の対立遺伝子が一定の頻度で存在することが明らかとなった。
ウマは歴史的に運輸、農耕、軍事等の人類の文明の発展に最も深く関わってきた重要な家畜である。歴史的に世界各地で飼育されてきた多様な在来馬の遺伝的特性を明らかにすることは、人類がどの様にウマを家畜化してそれを利用し、さらにそれら家畜化されたウマがどの様に世界各地に伝わってきたかを解明する上で重要な課題である。本研究の成果はこの様な家畜ウマの由来と伝播経路を解明する上で重要であるだけでなく、近年の産業化の進展にともない個体数が減少する中で危惧されているウマの遺伝的多様性の減少を回避し、在来馬として固有の性質を持つウマの集団を維持し保存する上でも重要である。
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すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 5件、 査読あり 4件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (10件) (うち国際学会 3件、 招待講演 2件)
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