研究課題
若手研究(A)
細胞培養は、いまや再生医療や医薬品開発など広範な分野において欠かすことのできない技術である。細胞培養を利用するメリットを最大限に引き出すには、培養途中の細胞状態に関する客観的な情報を取得するための、汎用的な分析戦略が必要である。本研究は、細胞が分泌するタンパク質が細胞の状態を反映していることに着目し、培地中に分泌された‘クルード(粗雑)なタンパク質’の組成を特徴パターンとして出力する‘クルードタンパク質メトリクス法’を開発した。これによって非破壊的かつマーカー分子に頼らない細胞状態の同定を実現した。
本研究により、クルードタンパク質メトリクス構築のための材料設計の指針や、評価系をマイクロ流体デバイスに搭載するための方法論を確立した。そしてこれらを基に、非破壊的かつマーカー分子に頼らない細胞評価のためのクルードタンパク質メトリクス系を構築し、それによって幹細胞の分化のほか、線維芽細胞の老化や抗がん剤による肺がん細胞の状態変化のモニタリングなどを実現した。本研究で確立した技術は、従来のエンドポイント的な細胞評価法と相補的に使える分析法として、再生医療や創薬、細胞生物学など幅広い分野に広く波及すると期待される。
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