研究課題
若手研究(A)
本研究では、記憶に関わる特定の神経がシナプス接続する神経を、順行性に標識する手法を確立することを目標とした。方法論として、細胞表面の受容体であるNotchを用いた人工タンパクを取り入れた。この人工タンパクをin vitroで最適化し、ショウジョウバエを用いて順行性のシナプス標識を実現させた。以上のように本研究で、順行性神経標識法という新規手法を確立した。今後、本手法を用いて特定のシナプス接続に焦点を絞った解析を進めていくことで、脳神経回路の更なる理解に発展させる。
これまでの様々な技術の発展から、遺伝学的、および生化学的に複雑な脳神経回路が解き明かされてきた。一方で、記憶に代表されるような、限られた記憶神経が司る神経ネットワークを理解するためには、シナプス間結合のある神経のみを標識し、それらを操作する方法論の樹立が必要不可欠であるが、そのような試みはされてこなかった。本研究で確立した順行性標識法が簡易な手法として活用できれば、ウィルスを用いずに遺伝子改変動物で可能となり、脳回路研究の強力な推進力となるだろう。この手法は遺伝子改変が可能なあらゆる動物に応用可能であり、ショウジョウバエ研究にとどまらない、汎用性の高い手法であると考えている。
すべて 2019
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 1件)
PNAS
巻: 116 号: 32 ページ: 16080-16085
10.1073/pnas.1901292116