研究課題
若手研究(A)
非侵襲的な人体組織である頭髪や爪の主要構成タンパクであるケラチンをターゲットとし、その構成要素である特定アミノ酸の質量分析法や安定同位体比分析法を開発した。特に主要アミノ酸の1つであるシスチンをシステイン酸として定性・定量分析し、ヒトの栄養状態のマーカーとして利用する方法を提案した。安定同位体分析については共同研究機関に配備されている装置を使用し、カラムや溶媒、誘導体化等の検討を通して、これまで着目されてこなかった不可欠アミノ酸等の微量アミノ酸の測定法を考案した。これらの検討により特定アミノ酸の分析による新たな栄養学の展開を図る見通しがたった。
本研究の手法を用いれば、過去の資料の分析によって当時の人々の健康状態や飢餓に関する知見が得られるため、考古学・人類学等の分野に貢献しうる。たとえば飢饉の際の人々の栄養状態を直接分析できるため、文献情報以外のデータを提供できる。過去の気象災害の人類社会に対する影響を新たな視点から分析できる。一方、本手法は栄養状態の新たなバイオマーカーとして用いられれば、健康科学にも貢献する可能性がある。国外では類似のアプローチがすでに応用されはじめているが、本邦ではまだほとんどない。今後ヒトを対象とした分析例を増やすことで、新たな健康科学のツールとなることが期待される。
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