研究課題
若手研究(A)
本研究では「結実期によって動物が高標高あるいは低標高へ種子散布するかが決まる」という仮説を支持する結果が得られた。周食散布について、鳥獣によって春夏結実植物では高標高へ、秋冬結実植物では低標高へ種子散布されることを示した。夏から秋の端境期に結実する植物では、特定の標高へ偏った種子散布が確認されない場合が見られた。種子散布距離の絶対値は行動圏の大きい動物ほど大きかった。貯食散布について、カラス科鳥類によって秋冬結実植物では低標高へ種子散布されることを示した。文献調査では、統計的に有意ではないものの春夏結実植物では秋冬結実植物よりも高標高へ分布を移動している傾向があることを示した。
本研究では、周食散布植物また貯食散布植物において「植物の結実期によって、動物の垂直散布の方向(種子が山を登るか下りるか)が決まる」という仮説を支持する結果を得られることができた。また近年の植物の垂直分布変化には動物による種子散布の偏りが影響している可能性が示唆された。温帯において周食散布植物及び貯食散布植物の多くは秋冬結実であり、これらの植物は温暖化に対応して気温の低い高標高の場所へ移動することが容易ではないかもしれない。これらの成果は、温暖化が進む中で動物散布植物が移動分散によってどのように分布を変化させていくのかの予測に貢献するものである。
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すべて 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 1件、 査読あり 5件、 オープンアクセス 3件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (10件)
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