研究課題
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口腔扁平上皮癌(以下、OSCC)におけるIL-6を介する放射線耐性機序の解明と新規治療法の開発を推進し、以下の点について明らかにした。1)OSCC患者組織において、IL-6の発現は腫瘍の増殖に関与していた。2)OSCC細胞は経時的にIL-6の細胞外分泌が増加しており、リン酸化STAT3のタンパクレベルが増加していた。3)OSCC細胞においてSTAT3阻害剤することで有意に放射線感受性が高くなることが確認された。4)in vivo担癌マウスモデルにおいて、IL-6阻害剤トシリズマブ併用放射線療法は、対照群と比較して腫瘍増殖を経時的に有意に抑制した。
本研究では、がん微小環境におけるOSCC細胞においてIL-6はSTAT3を活性化することで放射線抵抗性に寄与する可能性を生物学的により明らかにすることができた。従来の放射線療法とIL-6シグナリングを標的とした治療法の併用の可能性を模索することは、OSCC放射線耐性を克服という観点から重要かつ独創的なアプローチである。また、トシリズマブは、関節リウマチなどに対して既に承認されおり、高い効果を示している。従って、トシリズマブを用いた非臨床試験の結果が良好なものであるならば、トシリズマブはドラッグ・リ・ポジショニングの観点からも臨床試験のデザインにおいて非常に期待できる。
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