研究課題
基盤研究(C)
低分子化合物を用いて、ヒト線維芽細胞からヒト網膜色素上皮(RPE)細胞を直接誘導する手法の開発を目指した。これまでに、ある種の化合物を組み合わせてヒト線維芽細胞を処理することにより、線維芽細胞特異的な遺伝子発現を減少させ、形態的に上皮様細胞へ誘導する低分子化合物の組み合わせを見出した。さらに、効率的に細胞の分化程度を評価するために、RPE特異的遺伝子のプロモーター領域をヒト線維芽細胞に組み込んだレポーター細胞を作製した。レポーター細胞を用いて、各種化合物によるRPE細胞の分化誘導法確立を目指したが、現在までのところRPE特異的遺伝子の発現を誘導する有効な手法は確立できていない。
研究期間以内にケミカルダイレクトリプログラミングによるRPE細胞の分化誘導法の確立はできなかった。一方で、ヒト線維芽細胞の間葉系細胞マーカー遺伝子の発現を減少させうる低分子化合物の組み合わせに関して興味深い知見を得た。こうした遺伝子発現変化は間葉系細胞から上皮系細胞への運命転換であるMesenchymal-to-epithelial transition (MET)に重要なステップであり、このMETは細胞のリプログラミングにおいて重要であることがこれまでに示されてきている。したがって、本研究によって得られた低分子化合物に関する知見は、引き続き行う細胞リプログラミングの研究に有益であると考える。
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すべて 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 1件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 3件、 謝辞記載あり 1件)
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