研究課題/領域番号 |
17K02616
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
ヨーロッパ文学
|
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
吉田 耕太郎 大阪大学, 文学研究科, 准教授 (40551932)
|
研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2020年度)
|
配分額 *注記 |
3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2020年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2019年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2018年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2017年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
|
キーワード | ドイツ / 文化史 / 18世紀 / 自死 / 世代問題 / 病 / 自殺 / ドイツ文学 / 家庭の歴史 / 天才論 / 呼称 / こども / ドイツ語圏 / 18世紀 / 啓蒙 / ウェルテル現象 / モチーフ / モチーフ研究 |
研究成果の概要 |
本研究は、若者の自死をめぐる18世紀ドイツの言説の歴史を検討した。ウェルテル効果と呼ばれるこの現象は、主人公が自死で幕をとじるゲーテの小説『若きウェルテルの悩み』に影響を受けた若者たちが自死に共感した現象である。本研究は、若者の自死についての社会調査ではなく、自死がメディアによって流布し受けいれられるようになった、メディアの介在した文化現象の検討であった。研究で明らかにしたのは、若者の自死という行為そのものへの着目ではなく、病という視点からとらえる必要である。なかでも非専門家を対象とした医学言説の流布により、若者たちは自分たちを死へと向かう病んだ存在として表象するようになった。
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
18世紀ドイツを対象とする本研究は、現代日本の若者の自死の問題に直接コミットできるアクチュアルな性格はもってはいない。しかし本研究は、自死を決行するないしは自死を求めるというメンタリティーもまた、社会的に構築された価値観のひとつであることをあらためて確認することができた。それゆえ、同時代のウェルテル批判の主要な方法の一つが、ウェルテルの物語を書きかえるという方法であった。ライフストーリーを描く可能性のない社会や教育、希望的なストーリーを描くことの不可能にする実社会の社会経済的な格差というものは従来批判されているが、自らの人生を物語る詩的能力の育成も重要であることを本研究から主張できる。
|