研究課題/領域番号 |
17K02846
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
日本語教育
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研究機関 | お茶の水女子大学 |
研究代表者 |
西川 朋美 お茶の水女子大学, 基幹研究院, 准教授 (50456331)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2021年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2020年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2019年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2018年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2017年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
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キーワード | 第二言語習得 / 年少者日本語教育 / 助詞 / 臨界期仮説 / 臨界期 / 日本語能力 / バイリンガル / 子ども |
研究実績の概要 |
本研究は,幼少時から日本に定住・長期滞在している子どもの第二言語(L2)としての日本語力に焦点を当てている。格助詞に注目し,4種類の格助詞(「が」「を」「に」「で」)の産出知識を測るためのテストを作成した。
2年目に,L2日本語話者である子どもが多く通う公立小学校において全校調査(2校,計1300名)を実施し,3年目からデータ分析を開始した。この結果は,4年目に査読を経て『日本語教育』177号に掲載済である。この論文では,日本滞在歴5年以上のL2日本語の子どものみを分析対象としたところ,同年代の日本語モノリンガルの子どもとのテスト結果の間に有意差が見られたが,これは主に語順交替を伴うアイテムの結果の違いによるものであった。
続いて5年目は日本滞在歴5年未満の子どもに注目した分析を行い,2本の論文を執筆した。1本目は,中国語を母語とする子どものみを抽出し,日本語と中国語の文法構造の違いにも言及した議論を行っている。また,北米の移民の子どもが英語をL2として習得する際に形態素(前置詞を含む)の習得に困難を覚えるといった先行研究を引用しながら,子どものL2習得のメカニズムについての普遍性を議論した論考となっている。この論文は,査読を経てIF のついた国際誌に掲載済である(https://doi.org/10.1515/iral-2021-0092)。2本目は,同じく日本滞在歴5年未満の子どもに注目をしているが,分析対象とするアイテム数を国際誌に掲載された論文よりも広げ,日本語の格助詞の細かな使い分けについて,より詳細な分析を行い,教育実践への直接的な応用を目指した論考となっている。こちらも査読を経て,2022年8月発行の『日本語教育』182号に掲載済である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の研究計画にある内容については,すでに十分な成果をあげているが,コロナ禍で旅費などの出費がなく,延長申請をしている。そこで,当初の研究計画にはなかった,以下の発展的課題についての調査を行っている。
(本研究の主眼はL2にあるが)バイリンガル環境で育つ子どもの言語力については,第一言語(L1)とL2,両言語の能力のバランスを考慮すべきであると考える。そこで,本研究(助詞)と先の科研費による研究(コロケーション)のテストの中国語バージョンを作成し,パイロット調査を行った。コロケーションのパイロット調査については,査読を経て『母語・継承語・バイリンガル教育(MHB)研究』第18号に掲載済である。格助詞(中国語では語順や後置詞で示される)のパイロット調査結果については,2022年10月と2023年3月の2回に分けて,研究発表を行った。
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今後の研究の推進方策 |
本課題について,5年間の研究成果としては十分な実績をあげているが,特にコロナ禍で旅費が一切生じなかったことで,研究費が予定通り執行できておらず,延長申請を行っている。追加で実施した発展的課題についても,すでに一定の実績をあげている。2023年度は,新規の科研費課題の応募・採択を目指し,本研究を発展させた新たな研究課題の準備を行う予定である。
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