研究課題/領域番号 |
17K03067
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
日本史
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研究機関 | 奈良女子大学 |
研究代表者 |
黒田 洋子 奈良女子大学, 大和・紀伊半島学研究所, 協力研究員 (70566322)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2019年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2018年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2017年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
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キーワード | 正倉院文書 / 実務官人の書 / 王羲之 / 楷書体 / 草書体 / 隷書体 / 書状 / 江式・蔡ヨウ / 実用官人の書 / 書体情報 / 王羲之書法 / 日本古代史 / 楷書 / 草書 / 奈良時代 / 書 / 書の受容 / 王羲之習書 / 集字聖教序 / 省画 |
研究成果の概要 |
奈良時代の「書」としては天平写経に代表されるような芸術的価値を有するものが研究の対象とされ、正倉院文書の中の実務官人が書いた書は世界に類例を見ない量にもかかわらず、今まで研究の対照とされてこなかった。しかし、「書」は芸術である前に情報伝達の役割を担う。単に言葉を載せて運ぶだけではなく、書自体が情報を含むものである。書の変遷を考えるとき、芸術的な視点のみからではなく、実用面における書の変遷を今こそ考えなければならない。本研究では、既存の書道史から脱却して実務の場で用いられた書の特質を考察し、実用の書の歴史を歴史学の視点と方法論で考察する。まさに歴史資料としての情報を書から引き出すことを試みる。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
正倉院文書の「王羲之習書」などの史料から、奈良時代の王羲之書法の受容は、律令文書行政を支えるためのものであり、実務官人が受容の担い手であったことを明らかにした。これによって芸術文化として享受されたとする従来の王羲之の捉え方に新知見を加えた。 第二に隋・唐に完成したと言われる「楷書体」は、太宗のもとで弘文館学士らによって王羲之書法をもとに統一が図られた書体であったこと、第三に隋唐以前においても、公権力のもとで儒学に基づき篆書学者によって書体の整理・統一が図られたことを明らかにした。これによって様式論的変遷から見た従来の書道史観を離れ、社会的要因との関連から書を考察する新視点を開いた。
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