研究課題/領域番号 |
17K03821
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
金融・ファイナンス
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
千野 厚 長崎大学, 経済学部, 准教授 (30647988)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2020年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2019年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2018年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2017年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 資本コスト / 非正規雇用 / 企業金融 |
研究成果の概要 |
本研究は、日本における近年の非正規雇用の増加が、日本企業の資本コストに与えた影響を分析した。特に、2003年に行われた労働者派遣法の改正以降に急激に増加した製造業における派遣雇用が、企業の株主資本コスト及び負債資本コストに与えた因果的影響を、上場企業の株価・財務データを用いて分析した。推定結果として、製造業の資本コストは、非製造業のそれと比較して、法改正以降に有意に低下したことが示された。また、製造業における人件費の硬直性も法改正以降に同様に低下した。これらの結果は、派遣雇用の増加による人件費の変動費化が企業のリスクを低下させたことにより、資本コストを低下させたことを示唆している。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究の主要な成果は、労働市場における規制緩和、特に2003年における労働者派遣法改正以降の派遣雇用の増加が、企業価値に対しては資本コストの低下を通じて正の影響をもたらしたことを明らかにしたことである。一般的には、2003年の法改正による派遣雇用の増加は労働者の待遇面に不利益をもたらしたのみと捉えられがちである。しかしながら、本研究の結果は企業に対しては便益をもたらしたことを示しており、派遣雇用の増加が経済に与えた影響は、労働者および企業を含めた全体の社会厚生の観点から評価することが重要であることを示唆している。
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