研究課題
基盤研究(C)
アジア東縁の活動的大陸縁での中生代地殻変動を解明するために,極東ロシア及び北海道のジュラ~白亜紀砂岩の砕屑性ジルコンU-Pb年代を測定した。その結果,極東ロシアのハバロフスク~アムールコンプレックス(C)とサマルカ~ジュラブレフカCは,南北走向西傾斜で,見かけ下位ほど堆積年代上限値が若くなるため,並列する付加体と推定された。北海道の蝦夷層群(前弧海盆堆積岩類)やイドンナップC(付加体)も含めると,極東ロシアから北海道にかけて,白亜紀の弧-海溝系要素が南北に3列並列することが明瞭になった。また,砕屑性ジルコンの年代構成より,蝦夷層群の堆積盆は,白亜紀の間に南中国から現位置まで北上したとみられる。
日本列島から極東ロシアに至る地質構造の大局的枠組みを解明した点が,本研究の学術的意義である。従来,日本列島では,古生代地質体やジュラ紀付加体が複列に分布することが知られており,そのでき方が議論されてきた。本研究は,極東ロシアから北海道にかけて,日本には四万十帯にしか見られない白亜紀付加体が,アムールC,ジュラブレフカC,イドンナップCの三列に分かれることを解明した。一方,古生代地質体は,極東ロシアで分布が一列になる。この様な地質体の分布は,アジア大陸東縁全体が左横すべり複合断層帯(sinistral strike-slip duplex)をなすことを示す。
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