研究課題
基盤研究(C)
太平洋で採取したマンガンクラスト試料から、現在の太陽系内には存在しない鉄-60(半減期:262万年)とプルトニウム-244(半減期:8000万年)が検出された。鉄-60の分析値は、過去1000万年の間に太陽系は200から300光年離れた場所で起こった超新星爆発の影響を少なくとも2回受けたことが示された。また、超新星爆発内での核反応シミュレーションに基づくと、超新星爆発では鉄-60は生成するが、アクチノイドは生成しない。検出された鉄-60とプルトニウム-244は起源が異なり、プルトニウム-244は中性子星の合体により生成したものが太陽系内に流入し、地球上でも検出された。
最近では中性子星合体の研究が理論天文学の研究者を中心に進められている。重力波の成果が中性子星合体に関する唯一の観測データであり、時間スケールや放出エネルギーの規模など多くが謎に包まれている。本研究のプルトニウム-244の成果は、中性子星合体における生成核や宇宙空間における拡散に関する観測データになるため、関連分野への波及効果が大きい。また、化学的手法による目的核種の分析結果と物理的手法による生成核種量のシミュレーション結果を用いた天文学の研究である。宇宙・地球化学、原子核物理、天文学が交わる新たな研究分野の創設に貢献した。
すべて 2019 2018 2017 その他
すべて 国際共同研究 (8件) 学会発表 (10件) (うち国際学会 2件、 招待講演 3件)