研究課題
基盤研究(C)
水素結合供与性モディファイヤー添加に伴う金属錯体の超臨界二酸化炭素(SC-CO2)への溶解度向上の要因を明らかにするため、角型フューズドシリカキャピラリーを分光セルとして用いるSC-CO2相顕微ラマン分光装置を開発した。Fe(acac)3錯体のラマンスペクトルは、モディファイヤー添加に伴い変化した。また、その変化の度合いはモディファイヤーの水素結合供与能が大きいものほど大きくなった。これらの結果より、水素結合供与性モディファイヤー添加に伴う金属錯体のSC-CO2への溶解度の著しい向上は、水素結合を介した金属錯体-モディファイヤー会合体生成によるものであることが明らかにされた。
角型キャピラリーを分光セルに用いる本システムは、既存のレーザー顕微分光システムに比較的安価に組み込むことが可能である.本研究で開発した装置により、吸光度からSC-CO2相に溶解している分析物の定量、ラマンスペクトルから分析物の構造情報を同時に得ることが可能になった。本装置は、超臨界二酸化炭素相中での溶質とモディファイヤー間の相互作用を検討するうえで有用な分析装置であると考えられる。
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