研究課題
基盤研究(C)
本研究では、植物が傷害ストレスによってどのような遺伝子を発現させて細胞の脱分化を引き起こすのかについて解析した。遺伝子発現のスイッチタンパク質(転写因子)に着目し、この転写因子が傷害ストレス時に制御する遺伝子を網羅的に調べた。この結果、これまで組織培養条件下や局所的な組織・細胞破壊時に組織の再生現象に働くことが知られている別の転写因子、維管束の形成に関与する遺伝子、病害応答などに働く遺伝子などが発現の制御を受け、複雑なネットワークを形成していることが明らかとなった。
傷を受けた生物は、傷口において傷の修復や病原菌からの防御を行う必要があるが、植物も、傷害応答性のスイッチタンパク質によって再生から防御応答にわたるまで多岐に渡る生理現象を同時に引き起こしていることが明らかとなった。この解析から選抜されてきた遺伝子には、組織培養において再生を促進する機能を持つものや、病害ストレスから身を守るための機能を持つものが多く含まれていると考えられるため、これらの遺伝子の機能を利用した応用研究も期待される。
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