研究課題
基盤研究(C)
多剤耐性肺炎桿菌Em16-1とその親株ATCC10031について、トランスクリプトーム解析を実施した。顕著に発現が変化した遺伝子(Log fold change=|2|以上)は44個見出された。変異株Em16-1では、kexDの他kdrABの発現上昇が観察された。従って、kdrABはこの遺伝子の発現をself controlしている可能性が高い。その他、Em16-1では、ホスホン酸の輸送や利用に関係する遺伝子の発現増加が認められた。また、ウリジン2リン酸グルクロン酸から4-アミノ-4-デオキシ-L-アラビノースを合成してLPS修飾を行う酵素遺伝子arnBCADTEFの発現上昇が確認された。
KdrABにより発現制御されうる遺伝子群を同定した。これらの遺伝子の一部は、コリスチン耐性株でも発現上昇が報告されていた。従って、KdrBの変異は多剤排出ポンプKexD発現を上昇させるのみでなく、コリスチン耐性化に関わる遺伝子群の発現を上昇させることが示唆された。一方で、Em16-1ではコリスチン耐性の上昇は認められなかった。この結果からコリスチン耐性化とKdrABの間には、別の因子が介在している可能性が考えられ、本研究は肺炎桿菌の抗菌薬耐性について、新たな知見を与えるものである。
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Scientific Reports
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Sci Rep.
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