早期乳癌の検診過剰診断抑制および複合免疫非侵襲的治療へ向けた臨床病理学的基盤研究

• 研究課題/領域番号: 17K08707
• 研究種目: 基盤研究(C)
• 配分区分: 基金
• 応募区分: 一般
• 研究分野: 人体病理学
• 研究機関: 久留米大学
• 研究代表者: 山口 倫 久留米大学, 医学部, 准教授 (10309750)
• 研究期間 (年度): 2017-04-01 – 2020-03-31
• 研究課題ステータス: 完了 (2019年度)
• 配分額: 4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円); 2019年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円); 2018年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円); 2017年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
• キーワード: 乳癌 / サブタイプ / 過剰診断 / HER2陽性 / 腫瘍浸潤リンパ球 / DCIS / コメド壊死 / 複合免疫療法 / HER2陽性乳癌 / Andorogen receptor / Estrogen receptor / 術前補助療法 / 病理学的完全寛解 / 腫瘍周囲リンパ球浸潤 / Comedo壊死 / Androgen receptor / 乳癌検診 / 非浸潤癌 / 石灰化カテゴリー / 病理学

研究成果の概要

乳癌は、組織学的見地の他、現在サブタイプという概念が浸透している。我々は、乳癌が早期から浸潤癌までどのように進展、発育するかをサブタイプ (基本的にルミナル、Her2陽性、トリプルネガティブ群に大別) の概念から、特に免疫応答の観点も加え、検診における過剰診断や過剰治療にも言及できるよう検討を行った。早期乳癌において、Her2陽性上皮内癌はコメド壊死を有する高異型度癌が多く、腫瘍リンパ球浸潤免疫応答によって浸潤する経路があり、他サブタイプとは異なることが明らかになった。また、浸潤性Her2陽性乳癌ではER陽性と陰性群で病理・形態学的・免疫応答の点において大きく二分されることが明らかとなった。

研究成果の学術的意義や社会的意義

高異型度上皮内乳癌が浸潤する際に免疫応答による経路が明らかになり、さらに通常高異型度癌が有するコメド壊死がマンモグラフィなど画像による石灰化に反映することから、元来予後不良であったHer2陽性や高異型度乳癌の早期発見に繋がることが示唆された。浸潤性Her2陽性乳癌ではER陽性と陰性群で病理・形態学的・免疫応答の点においてに大きく二分されることが明らかとなり、他サブタイプとの進展、浸潤の差異、類似点から、更なる早期発見や治療指針にも寄与できる。また、今後の複合免疫療法など新たなる治療にも繋がる。我々の研究結果は、目的とした検診の過剰診断抑制や今後の乳癌治療指針への大きな貢献を可能とする。

研究成果

• [雑誌論文] Multiplex PCR analysis of apocrine lesions shows frequent PI3K-AKT pathway mutations in both benign and malignant apocrine breast tumors. (2020)
  • 著者名/発表者名: Kanomata N, Yamaguchi R, Kurebayashi J, Moriya T.
  • 雑誌名: Med Mol Morphol. 巻: 53 号: 1 ページ: 15-20
  • DOI: 10.1007/s00795-019-00226-5
  • 査読あり
• [雑誌論文] iverse histomorphology of HER2-positive breast carcinomas based on differential ER expression. (2020)
  • 著者名/発表者名: Akashi M, Yamaguchi R, Kusano H, Obara H, Yamaguchi M, Toh U, Akiba J, Kakuma T, Tanaka M, Akagi Y, Yano H.
  • 雑誌名: Histopathology 巻: 76 号: 4 ページ: 560-571
  • DOI: 10.1111/his.14003
  • 査読あり
• [雑誌論文] Significance of glucocorticoid signaling in triple-negative breast cancer patients: a newly revealed interaction with androgen signaling. (2020)
  • 著者名/発表者名: Kanai A, McNamara KM, Iwabuchi E, Miki Y, Onodera Y, Guestini F, Khalid F,Sagara Y, Ohi Y, Rai Y, Yamaguchi R, Tanaka M, Miyashita M, Ishida T, Sasano H.
  • 雑誌名: Breast Cancer Res Treat 巻: 180 号: 1 ページ: 97-110
  • DOI: 10.1007/s10549-020-05523-7
  • 査読あり
• [雑誌論文] Phenotypic and molecular dissection of metaplastic breast cancer and the prognostic implications. (2019)
  • 著者名/発表者名: McCart Reed AE, Kalaw E, Nones K, Yamaguchi R, et al.
  • 雑誌名: J Pathol 巻: 247 号: 2 ページ: 214-227
  • DOI: 10.1002/path.5184
  • 査読あり / 国際共著
• [雑誌論文] CD1d- and PJA2-related immune microenvironment differs between invasive breast carcinomas with and without a micropapillary feature. (2019)
  • 著者名/発表者名: Naoki Kanomata, Junichi Kurebayashi, Yoshikazu Koike, Rin Yamaguchi, Takuya Moriya
  • 雑誌名: BMC Cancer 巻: 19 号: 1 ページ: 76-76
  • DOI: 10.1186/s12885-018-5221-9
  • 査読あり / オープンアクセス
• [雑誌論文] Comparison of Claudin 18.2 expression in primary tumors and lymph node metastases in Japanese patients with gastric adenocarcinoma. (2019)
  • 著者名/発表者名: Rohde C, Yamaguchi R, Mukhina S, Sahin U, Itoh K, et al.
  • 雑誌名: Jpn J Clin Oncol 巻: 49 号: 9 ページ: 870-876
  • DOI: 10.1093/jjco/hyz068
  • 査読あり / 国際共著
• [雑誌論文] Genomic characterisation of breast fibroepithelial lesions in an international cohort. (2019)
  • 著者名/発表者名: Md Nasir ND, Ng CCY, Rajasegaran V, Wong SF, Liu W, Ng GXP, Lee JY, Guan P,Lim JQ, Thike AA, Koh VCY, Loke BN, Chang KTE, Gudi MA, Lian DWQ, Madhukumar P,Tan BKT, Tan VKM, Wong CY, Yong WS, Ho GH, Ong KW; International Fibroepithelial Consortium, Tan P, Teh BT, Tan PH
  • 雑誌名: J Pathol 巻: 249 号: 4 ページ: 47-460
  • DOI: 10.1002/path.5333
  • 査読あり / 国際共著
• [雑誌論文] 病理・腫瘍形態 (肉眼型) から考えるサブタイプ別画像所見 (2018)
  • 著者名/発表者名: 山口倫 森田道 田中眞紀
  • 雑誌名: 乳癌の臨床 巻: 33 ページ: 41-45
• [雑誌論文] 腫瘍浸潤リンパ球 (2018)
  • 著者名/発表者名: 山口倫
  • 雑誌名: 病理と臨床 巻: 36
• [学会発表] Comparison of Biomarkers for Predicting Therapeutic Effects in HER2-Positive Breast Carcinomas (2020)
  • 著者名/発表者名: Akashi M, Yamaguchi R, Kusano H, Yamaguchi M, Akiba J, Kakuma T, Tanaka M, Akagi Y, Yano H
  • 学会等名: The United States and Canadian Academy of Pathology’s 109th Annual Meeting
  • 国際学会
• [学会発表] 画像診断に役立つ乳癌サブタイプと乳腺病理 (2020)
  • 著者名/発表者名: 山口 倫
  • 学会等名: 第33回JCR(放射線学会専門医会)ミッドウィンターセミナー
  • 招待講演
• [学会発表] セミナー２乳癌画像と病理 マンモグラフィと病理像 (2020)
  • 著者名/発表者名: 山口 倫
  • 学会等名: 第29回乳癌画像研究会
  • 招待講演
• [学会発表] Healingという浸潤様式 シンポジウム (2020)
  • 著者名/発表者名: 山口 倫
  • 学会等名: DCIS研究会
  • 招待講演
• [学会発表] Update on WHO 5th edition. Papillary Lesions of the Breast. (2020)
  • 著者名/発表者名: Yamaguchi R
  • 学会等名: The 17thAsian Breast Disease Association Annual Meeting.
  • 国際学会 / 招待講演
• [学会発表] 乳癌取扱い規約改定による病理組織分類とその超音波像 (2019)
  • 著者名/発表者名: 山口 倫
  • 学会等名: 第133回医用超音波講義講習会
  • 招待講演
• [学会発表] 乳頭状病変の病理 (2019)
  • 著者名/発表者名: 山口 倫
  • 学会等名: DCIS研究会
  • 招待講演
• [学会発表] 病理学的微細石灰化とマンモグラフィおよび乳腺腫瘍進展モデルとの関係性 (2019)
  • 著者名/発表者名: 山口 倫
  • 学会等名: 第28回日本乳癌画像研究会
  • 招待講演
• [学会発表] 乳癌サブタイプと組織型・組織像との相関性 シンポジウム (2019)
  • 著者名/発表者名: 山口 倫
  • 学会等名: 第60回日本臨床細胞学会
  • 招待講演
• [学会発表] アポクリン病変の組織像・良悪性の鑑別 シンポジウム (2019)
  • 著者名/発表者名: 山口 倫
  • 学会等名: 第58回細胞学会秋
  • 招待講演
• [学会発表] 乳腺細胞診における「背景」の見方・考え方 乳癌サブタイプの観点から (2019)
  • 著者名/発表者名: 山口 倫
  • 学会等名: 第58回細胞学会秋
  • 招待講演
• [学会発表] 乳腺の「境界病変」をどう診断しどのように取扱うか？シンポジウム (2019)
  • 著者名/発表者名: 山口 倫
  • 学会等名: 第65回日本病理学会 秋期特別総会
  • 招待講演
• [学会発表] 取扱い規約改定・新規採用病変と画像所 (2019)
  • 著者名/発表者名: 山口 倫
  • 学会等名: 第26回九州乳房超音波研究会
  • 招待講演
• [学会発表] 取扱い規約改定の注意点と乳癌サブタイプから考える組織像・細胞像 (2019)
  • 著者名/発表者名: 山口 倫
  • 学会等名: 第35回佐賀県臨床細胞学会
  • 招待講演
• [学会発表] 浸潤性乳癌とDCISの腫瘍浸潤リンパ球 (TIL) (2019)
  • 著者名/発表者名: 山口 倫
  • 学会等名: 第58回日本臨床細胞学会
  • 招待講演
• [学会発表] HER2 positive breast carcinomas: clinicopathological similarities and differences between ER+ and ER-. (2019)
  • 著者名/発表者名: Yamaguchi R
  • 学会等名: The 11th Congress of Asia Pacific International Academy of Pathology
  • 国際学会 / 招待講演
• [学会発表] 乳癌取扱い規約改定による病理組織分類とその超音波像 (2019)
  • 著者名/発表者名: 山口 倫
  • 学会等名: The 133th医用超音波講義講習会
  • 招待講演
• [学会発表] 乳頭状病変の病理 (2019)
  • 著者名/発表者名: 山口 倫
  • 学会等名: The 10th DCIS研究会
  • 招待講演
• [学会発表] 取扱い規約改定の注意点と乳癌サブタイプから考える組織像・細胞像 (2019)
  • 著者名/発表者名: 山口 倫
  • 学会等名: 佐賀県臨床細胞学会
  • 招待講演
• [学会発表] 取扱い規約改定・新規採用病変と画像所見 (2019)
  • 著者名/発表者名: 山口 倫
  • 学会等名: The 26th九州乳房超音波研究会
  • 招待講演
• [学会発表] 乳癌学会病理セミナー (2018)
  • 著者名/発表者名: 山口 倫
  • 学会等名: 日本乳癌学会総会
  • 招待講演
• [学会発表] 乳癌の分類について~ 新規約分類・サブタイプ分類・肉眼分類 ~ (2018)
  • 著者名/発表者名: 山口 倫
  • 学会等名: 長野県乳腺フォーラム2018
  • 招待講演
• [学会発表] 最新乳癌取扱い規約分類と他分類との関係性～ 臨床に役立つ融合乳腺病理診断を目指して ～ (2018)
  • 著者名/発表者名: 山口 倫
  • 学会等名: 日本臨床細胞学会九州連合会
  • 招待講演
• [学会発表] Update on triple positive breast cancers. Special reference to imaging and pathological findings (2018)
  • 著者名/発表者名: 山口 倫
  • 学会等名: The 16th Asian Breast Diseases Association.
  • 国際学会 / 招待講演
• [学会発表] 病理の観点から 若年層に対するマンモグラフィ検診に虫眼鏡は必要か？ (2018)
  • 著者名/発表者名: 山口 倫
  • 学会等名: 33th神奈川乳腺疾患症例検討会
  • 招待講演
• [学会発表] Benefits of knowing the histological features of HER2 breast cancer to avoid pathological issues. (2018)
  • 著者名/発表者名: 山口 倫
  • 学会等名: The 13th Asia Pacific Society for Molecular Immunohistology
  • 国際学会 / 招待講演
• [学会発表] 乳癌の分類について~ 新規約分類・WHO分類・サブタイプ分類・肉眼分類 (2018)
  • 著者名/発表者名: 山口 倫
  • 学会等名: 大分県乳腺フォーラム
  • 招待講演
• [学会発表] Late 70’s Woman’s Palpable Lesion. (2018)
  • 著者名/発表者名: 山口 倫
  • 学会等名: The 9th SGH breast pathology course
  • 国際学会 / 招待講演
• [学会発表] 乳腺細胞診における「背景」見方・考え方 乳癌サブタイプの観点から~ (2018)
  • 著者名/発表者名: 山口 倫
  • 学会等名: 第57回日本臨床細胞学会総会
  • 招待講演
• [学会発表] HER2陽性乳癌は1つのグループではない ～HER2陽性乳癌サブグループの臨床病理学的検討～ (2018)
  • 著者名/発表者名: 赤司 桃子, 山口 倫,山口 美樹,大塚 弘子,唐 宇飛,田中 眞紀,赤木 由人,矢野 博久
  • 学会等名: 第 26回日本乳癌学会総会
• [学会発表] HER2陽性乳癌サブグループにおける組織型および組織像の特徴 ～ Comedo癌は独立した組織型にすべきである ～ (2018)
  • 著者名/発表者名: 赤司 桃子, 山口 倫,山口 美樹,大塚 弘子,唐 宇飛,田中 眞紀,赤木 由人,矢野 博久
  • 学会等名: 第107回日本病理学会総会
• [学会発表] Comparison of Clinicopathological Features between Hormone Receptor Positive and Negative Cases in HER2-Positive Breast Cancer Patients (2018)
  • 著者名/発表者名: Momoko Akashi, Rin Yamaguchi, Hironori Kusano, Maki Tanaka, Hirohisa Yano
  • 学会等名: United States and Canadian Academy of Pathology 2018 Annual meeting
  • 国際学会
• [学会発表] 病理医からみた現状のカテゴリー３ (要精査) 基準について (2018)
  • 著者名/発表者名: 山口 倫
  • 学会等名: 第27回日本乳癌画像研究会
  • 招待講演
• [学会発表] サブタイプを意識した乳癌画像診断に役立つ病理の知識 (2018)
  • 著者名/発表者名: 山口 倫
  • 学会等名: 第27回日本乳癌画像研究会
  • 招待講演
• [学会発表] HER2陽性乳癌は1つのグループではない ～HER2陽性乳癌サブグループの臨床病理学的検討～ (2018)
  • 著者名/発表者名: 赤司 桃子, 山口 倫,山口 美樹,大塚 弘子,唐 宇飛,田中 眞紀,赤木 由人,矢野 博久
  • 学会等名: 第26回日本乳癌学会総会
• [学会発表] Triple positive breast cancer (2018)
  • 著者名/発表者名: Rin Yamaguchi
  • 学会等名: 16th Asian Breast Disease Association
  • 招待講演
• [学会発表] ADH, FEAの病理診断 (2017)
  • 著者名/発表者名: 山口倫 田中眞紀 山口美樹
  • 学会等名: 第27回に本乳癌検診学会学術総会
  • 招待講演
• [学会発表] 病理学的見地およびサブタイプから考える石灰化カテゴリー (2017)
  • 著者名/発表者名: 山口倫
  • 学会等名: 第25回日本乳癌学会総会
• [学会発表] Her2陽性乳癌の病理 (2017)
  • 著者名/発表者名: 山口倫
  • 学会等名: 日本乳癌甲状腺学会超音波医学会
  • 招待講演
• [学会発表] Understanding subtypes (2017)
  • 著者名/発表者名: 山口倫
  • 学会等名: 第76回日本放射線学会総会
  • 招待講演
• [図書] 乳腺腫瘍学 (2020)
  • 著者名/発表者名: 堀井理絵、大井恭代、坂谷貴司、山口 倫。
  • 総ページ数: 28
  • 出版者: 日本乳癌学会
• [図書] 乳腺の画像診断～乳癌サブタイプ (2020)
  • 著者名/発表者名: 山口 倫
  • 出版者: 学研メディカル秀潤社
• [図書] 乳腺の画像診断～DCIS (2020)
  • 著者名/発表者名: 山口 倫
  • 出版者: 学研メディカル秀潤社
• [図書] 乳腺の画像診断～微小浸潤癌 (2020)
  • 著者名/発表者名: 山口 倫
  • 出版者: 学研メディカル秀潤社
• [図書] WHO classification of tumours 5th edition. Breast tumours. (2019)
  • 著者名/発表者名: Brogi E, Horii R, Mac Grogan G, Rakha EA, Troxell ML, Tse G, Yamaguchi R.
  • 総ページ数: 3
  • 出版者: IARC
• [図書] WHO classification of tumours 5th edition. Breast tumours. (2019)
  • 著者名/発表者名: Troxell ML, Boulos F, Denkert C, Horii R, Yamaguchi R.
  • 総ページ数: 5
  • 出版者: IARC
• [図書] 乳癌サブタイプと乳腺病理～これからの乳腺診療と画像診断のために～ (2019)
  • 著者名/発表者名: 山口 倫
  • 総ページ数: 165
  • 出版者: アトムス社
• [図書] 乳癌の診断と治療 (2019)
  • 著者名/発表者名: 山口 倫、森田道、赤司桃子、他
  • 総ページ数: 8
  • 出版者: 金原出版
• [図書] 乳癌サブタイプと乳腺病理 (予定) (2018)
  • 著者名/発表者名: 山口倫
  • 出版者: アトムス