研究課題
基盤研究(C)
神経内分泌腫瘍の発生率は世界的に増加しており、核分裂像やKi-67 labeling indexを含む現行の評価指標では説明しきれない症例が存在するため、再発や転移の正確な予測因子の解明が求められている。2023年度の研究では、新規症例を含めて膵神経内分泌腫瘍の病理組織学的特徴と追跡調査に焦点を当て、患者の年齢、腫瘍径、浸潤深度、核分裂数、Ki-67 labeling index、血管侵襲の有無、再発・転移の有無、および予後を含めたデータを解析した。生存期間の中央値は以前同様に9年であったが、特に肝転移が予後不良の重要な因子であることが確認された。さらに多施設共同研究によるグレリン蛋白の発現解析にも参画し、結果として2例でグレリン発現亢進が確認された。本研究では消化管あるいは膵神経内分泌腫瘍の病理学的解析のみならず、Composite gangliocytoma/neuroma and neuroendocrine tumor(CoGNET)についても検討した。この稀な神経内分泌腫瘍は主に十二指腸に発生し、従来はgangliocytic paragangliomaと分類されていた。しかし、分子病理学的解析により、この腫瘍が消化管起源のneuroendocrine tumorとしての特性を持つことが明らかになった。これらの知見を基に、研究代表者は国際会議 (Web会議)にて討論し、従来の名称が不適切であることにコンセンサスが形成された。結果として、形態学的および分子病理学的特徴を反映した新名称としてCoGNETが提案され、WHOの腫瘍分類第5版においてCoGNETの名称が採用されることになった。
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