研究課題
基盤研究(C)
担がん宿主における抗ウイルス免疫の改善に果たす漢方薬の役割を明らかにするため、担がんマウスに十全大補湯を投与しウイルス感染後の細胞性免疫を評価した。十全大補湯はin vivoで何らの抗腫瘍効果も示さない一方、同マウスで低下していた抗ウイルス細胞性免疫を改善した。また抗ウイルス免疫を抑制する制御性T細胞および骨髄由来抑制細胞への介入も抗腫瘍効果はないものの、担がんマウスの抗ウイルス細胞性免疫の改善に有用であったが、十全大補湯はこれら細胞とは無関係にその改善に寄与することが明らかとなった。以上の結果は担がん患者など易感染性宿主の抗ウイルス免疫向上に漢方薬が有用であることを示唆する。
本研究の結果は、新興・再興感染症に対して特異的ワクチンや薬剤が開発されるまで対症療法で凌ぐしかない今日において、比較的安全性が高く経済的な十全大補湯ががん患者をはじめとする免疫低下した患者群に対して有用である可能性を示唆するものである。また感染症治療は病原体自体への対応に目が行きがちであるが、宿主の免疫の向上という視点に立ったアプローチも必要であり、本研究はその一端を示したものとも言えよう。古来より感染症の治療や予防などに多様な漢方薬が使用されてきたことを考えると、今後、科学的な観点から同様の研究を推進し易感染性宿主に対する感染症への備えを固めることは有用であると信ずる。
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すべて 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 1件、 査読あり 5件、 オープンアクセス 4件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (3件)
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