研究課題
基盤研究(C)
Hp陰性の胃疾患症例に おけるNHPH感染のPCR陽性率を調査した。2013年9月から2019年6月に17病院からHp陰性の296症例の胃粘膜生検組織を集めた。296例中、236例はHp非除菌群で、そのうち49例がNHPH陽性だった。20例はHelicobacter suis, 7例はHelicobacter heilmannii sensu stricto陽性で、22例は同定できなかった。Hp除菌法で治療された全例がPCRによ る診断では陰性化した。除菌後Hp陰性29例のうち、3例がNHPH陽性だった。以上より、Hp陰性症例の約20%がNHPH陽性で、除菌後群では10%がNHPH陽性だった。
我々は、10年以上にわたりNHPHの特徴、疾患形成との関連についての検討をカニクイザルおよびヒト由来菌のマウス感染モデルを用いて行ない、ピロリ菌との混合感染ではなくピロリ菌陰性者にNHPH感染例が多いことを見出した。今回の検討でも、さらに明確に認められたことから、ピロリ菌陰性の胃MALTリンパ腫、鳥肌胃炎、慢性胃炎、胃十二指腸潰瘍の20%にNHPHが関与することが明らかとなった。さらに、除菌後Hp陰性の症例で胃疾患が認められる場合、その10%にNHPHが陽性であることが示された。一方、除菌療法との関連ではHpと同様の薬剤の組み合わせによる除菌療法で全例が陰性化し、診断の重要性が明らかとなった。
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