研究課題
基盤研究(C)
慢性腎臓病(CKD)において心血管疾患は死亡原因の第1位である。CKD患者の50~60%は冠動脈病変を来たし、高度の石灰化を高率に伴うことなどによって治療困難な場面が多い。本研究は、CKD患者の予後を規定する冠動脈硬化症に対する新たな治療戦略策定を目指し、動脈石灰化の発生と進展の機序解明を目的とする。具体的には、冠動脈rotablator治療後に冠循環から体循環に流出する動脈硬化血管壁由来分子を含む血液検体を用い、in vivoのアテローム性動脈硬化に関わるエクソソーム内microRNAを次世代シーケンサーを用いたRNA-seq法で同定した。
本研究の特色は動脈壁を切削前後に経時的に採取した血液検体サンプルを用いることである。動脈硬化巣における分子機構については、剖検例ならびに実験系における病理学的解析のみであり、臨床例を用いた解析は見当たらない。Rotablator施行後に、血管壁に存在する分子が体循環に流出し変動している事や、血液中の経時的なエクソソームmiRNAの挙動に着目して、証明した報告は国内外において前例がなく、血管壁内の動脈硬化巣にかかわるmiRNAを生体内で評価する革新的な研究である。さらに、進行した動脈硬化巣に存在するmiRNAの状態をヒト生体を対象に臨床的に評価することで治療法開発への貢献が期待される。
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