研究課題
基盤研究(C)
「心線維芽細胞における交感神経―炎症連関が慢性炎症持続の基盤となり、aging-related cardiomyopathy(ARC)を形成する」とする仮説を、β2アドレナリン受容体欠損マウス(β2ARKO)を用いて検証した。β2ARKOはコントロールと比較して、寿命の短縮、拡張能の低下、加齢に伴う心臓の線維化の増加傾向を認めた。一方、senescence-associated secreted phenotypeについては、老化マウスにおいて有意な差を認めなかった。以上の結果は、当初の仮説と異なり、β2ARがARCに対して線維化を伴う心拡張能を介して保護的に作用している可能性を示している。
本研究において、β2アドレナリン受容体欠失に伴い、マウスの寿命が短縮したことから、β2アドレナリン受容体を活性化させることにより、寿命を延長する可能性があることが示唆された。また、β2アドレナリン受容体は、心臓において拡張能の維持を介してaging-related cardiomyopathyを抑制することが明らかとなった。β2アドレナリン受容体アゴニストは気管支喘息に対する治療として貼付剤が一般的に使用されており、この既存の薬剤が健康寿命を延長させる治療へ展開できる可能性を示唆している。
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