研究課題
基盤研究(C)
転写因子/スプライシング因子として機能するTHRAP3の生体内における生理的役割は不明である。本研究では肥満症病態におけるTHRAP3の役割を解析するため、白色脂肪細胞および肝臓特異的THRAP3ノックアウト(KO)マウスを作成した。臓器特異的KOマウスの出生数が予測されるよりも少なく、一部のKOマウスは胎生致死に至ると考えられた。無事出生したKOマウスにおいて明らかな病理学的異常は見出せず、標準餌または高脂肪食下において摂餌量、体重、耐糖能にはコントロールに比較して有意差を認められなかった。今後、胎生致死の原因検索、ならびに個体数を増やして更なる解析が必要である。
mRNA選択的splicing (AS)は、単一遺伝子から複数の蛋白isoformが翻訳されて個の多様性を生み出す生体内機構であり、その異常は癌や神経変性疾患の原因となる。近年私達は転写共役因子Helz2 knock-out (KO)マウスが肥満に対して抵抗性になることを報告した。更にHelz2に結合する蛋白としてsplicing因子であるThrap3を同定し、Thrap3がHelz2と協調的に白色脂肪細胞分化を促進することも報告した。本研究では、私達が樹立した臓器特異的Thrap3 KOマウスを用いて、Thrap3の生体内機能解析を行い、AS異常が肥満症病態に及ぼす影響について検討した。
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