研究課題
基盤研究(C)
共感欠如は、人の社会的な機能を不可能にする。感情と認知機能の遂行に必要な前頭葉は最も遅くに成熟する。したがって、早期の前頭葉損傷でも、後年になり発達する道徳的判断にも影響を及ぼす。小児の発達的問題を理解するためには、仮説に導かれた研究が共感のような機能を解明するのに必要とされる。我々は、快、不快感情がそれぞれ左、右前頭葉で活性化かれることを見出し、共感研究を行った。これらの結果から、感情や共感を電気生理学的に検討することが健常児者、発達障害児者において遂行可能であることが確認された。これらの研究成果は、臨床神経生理学会のシンポジウムや英文誌に公表された。
発達障害は前頭葉の機能障害であることが神経心理学的に提唱されてきている。前頭葉は認知・情動処理系の相互作用から将来の意思決定や自己と他者をつなぐ共感に関わる脳領域であることが認知神経科学的に次第に明らかとなってきた。本研究の目的は、自己の意思決定や他者への共感に関わる神経心理学的課題遂行時の認知・情動処理系を解析し、さらに対象者と観察者を神経生理学的に同時に測定することで、両処理系の相互作用に関わる脳内情報処理過程と臨界期を定型発達児において定量化することにあった。発達障害を学際的な研究対象とすることで、診断と治療に対する評価基準と教育方針を認知神経科学的に確立することを目標としている。
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