研究課題
基盤研究(C)
体幹部定位放射線治療の治療前評価としてdual energy CTおよびFDG-PETの両方を行った肺癌症例について、腫瘍血流量・低酸素の指標であるヨード密度と悪性度の指標であるSUVmaxに着目し、予後指標としての有用性、両者の関係を明らかにすることを目的に研究を行った。肺癌205例の解析の結果、ヨード密度とSUVmaxに弱い負の相関を認めた。SUVmax高値とヨード密度低値は有意な予後不良因子であり、両者を併せ持つ患者群は体幹部定位照射後の全生存率と局所制御率が明らかに不良であった。今回の研究の結果、SUVmax高値かつヨード密度低値の群は、肺癌定位照射の再発高リスク群と同定された。
悪性腫瘍のおよそ8割は好気性環境下においても嫌気性解糖を行っていることが知られており、その様な腫瘍は腫瘍内の酸素分圧に関係なくブドウ糖代謝が亢進している。ブドウ糖代謝は血流低下や栄養不足等の劣悪な環境にあるがんにとってエネルギーを得るための重要な反応であり、がんの増殖にも重要な役割を果たしている。その中でも低酸素下で嫌気性解糖を行っている腫瘍はとりわけ放射線抵抗性かつ悪性度が高いと考えられる。今回の研究の結果、dual energy CTとFDG-PETを行うことにより、その様な腫瘍を事前に絞り込むことができ、それらに対する線量増加や分割法の工夫により治療成績の更なる向上が期待できる。
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