研究課題
基盤研究(C)
口腔扁平苔癬(OLP)の病態形成に関わる上皮由来の疾患関連分子を同定することを目的として、患者の病理切片をDNAマイクロアレイにて遺伝子を網羅的に解析した。その結果、Th(ヘルパーT)細胞の活性化に関与する液性因子としてカテプシンK(CTSK)が抽出された。CTSKは病変部の上皮とその直下の炎症細胞浸潤に強い発現を認めた。ヒト末梢血から樹状細胞を抽出し、CTSKによる刺激実験を行なった。その結果、OLPのThサブセットの活性化にはmDCやpDCなどの樹状細胞が重要な役割を担っていることが示唆された。
WHOはOLPをpremalignant conditionからpotentially malignant disorderと位置づけたが、実際一部のOLP症例では扁平上皮癌への悪性転化が認められるため、OLPの病態進展をいかに抑制するかが治療上重要と考えられた。今回の研究によってカテプシンKがIL-6やIL-23などの炎症性サイトカイン産生を制御することが示唆され、Th17細胞分化を誘導することで自己免疫性炎症を引き起こすことが示唆された。これらの細胞に関与するDCサブセットをさらに明らかにすることで疾患の発症や重症化のメカニズム解明および新規治療薬の開発が期待される。
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