研究課題
基盤研究(C)
マスト細胞はアレルギー反応で中心的な働きをする免疫細胞の一種である.本研究により、Streptococcus oralisなどのミティス群口腔レンサ球菌が産生する過酸化水素が、マスト細胞株のIgE-抗原複合体による脱顆粒反応を抑制すること、その抑制には過酸化水素による細胞死が関与していることが明らかになった.この細胞死にはリソソームのダメージが関与していた.ついで、マウス花粉症モデルを用いて、菌由来の過酸化水素が動物レベルでアレルギー反応を抑制するかどうかを検討した.その結果、鼻腔内にS. oralisあるいは過酸化水素を投与したマウスでは花粉刺激によるクシャミ反応が減少することが示された.
口腔ミティス群レンサ球菌が産生する低濃度の過酸化水素が宿主の免疫応答やアレルギー応答に影響を与える可能性が示された.口腔常在細菌の代謝産物にそのような作用があることは従来全く想定されておらず、常在細菌が宿主に与える影響を考え直す必要があるのではないかと思われる.
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