研究課題
若手研究(B)
本研究では,医療用RFID(Radio-frequency Identification)タグ付き手術器械を用いて個体識別システムを開発し,器械出し看護師を対象とした技能評価と,医療安全と教育の質の双方の向上を図ることを目的とした.結果として,RFIDタグ付き手術器械の情報取得システムを用いて,手術22例において情報取得を行った.手術中に得られた手術器械情報から,各手術工程を4種類程度に分けることができた.RFIDタグ付き手術器械の安全性やコストに関する有効性評価では,手術器械の使用状況について検知可能なソフトウェアを開発し,74回の手術における手術器械の総使用率は65%であることがわかった.
本研究成果により,手術器械情報をベースとした器械出し看護師の技能評価手法を提案することができた.手術中の看護師は清潔状態を保つ必要があるため,その動きを計測するためには非接触であることが求められる.そのため,これまでの先行研究では動画像を用いた研究開発が主流であった.本研究成果は,新たな技能評価手法として学術的意義が高いといえる.また,手術中の手術器械トレーサビリティにより,手術で使用された本数や回数が明らかになった.本結果に基づき,器械セット内の構成内容の見直しを試みることで,患者安全への寄与,看護師や中央滅菌センタースタッフの負担軽減,およびコスト削減効果について言及できると考えられる.
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