研究成果の概要 |
フラクショナル和分過程(I(d) 過程)の長期記憶パラメータdの推定では、短期記憶の特定化を避けるセミパラメトリック推定を用いることが多い。よく利用されるのはLocal Whittle(LW)推定である。Abadir et al.(2007)はd∈(-1.5, ∞)の範囲で推定できるLW推定量を提案した。ただし,その範囲からd=0.5, 1.5, 2.5,...を除かなければならない。そこでまず、この穴のうちd=0.5を埋める推定量を提案した。シミュレーションにより他の推定量との比較を行った。 また、長期記憶性が平均の変化によるみせかけのものか本物かを判別する検定についての研究を行った。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
フラクショナル和分過程(I(d) 過程) とは, d(d は0 から1 までの実数) 回階差をとると, ARMA 過程のような弱定常になる系列のことである。このモデルはファイナンスやマクロの様々なデータにおいて観測され, 多方面に利用されている。I(d) 過程はそのモデルの特性から比較的長い系列に対して応用されることが多いが、そのような系列では構造変化がおこる可能性も高いと考えられる。そこで、長期記憶性と構造変化の両方を考慮したモデルを開発することに意義がある。
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