研究課題/領域番号 |
17K14162
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 基金 |
研究分野 |
代数学
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研究機関 | 岡山大学 (2021-2022) 名古屋大学 (2017-2020) |
研究代表者 |
伊藤 敦 岡山大学, 自然科学学域, 准教授 (90712240)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2020年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2019年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2018年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2017年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | トーリック多様体 / セシャドリ定数 / カラビ-ヤウ多様体 / アーベル多様体 / シジジー / 双対欠損 / K安定性 / 代数ビジョン |
研究実績の概要 |
トーリック多様体の双対欠損について,ケーリー構造やトーリック多様体とは限らない一般の代数多様体の双対欠損の性質などの観点から研究を行ったが,特に進展は得られなかった.一方その過程で,以前Ambro氏(IMRA)との共同研究で示した,セシャドリ定数という不変量に関する不等式の証明に誤りを発見した.Ambro氏と共同で修正を行い,一部の結果は弱くなってしまったが,一部の結果は別証を与えることでより良い不等式が得られた. その他以下のような研究も行った. 射影代数多様体の分類などにおいて双有理幾何学は非常に有力である.代数多様体Xに対し,そのQ分解的正規射影代数多様体と呼ばれる,Xと「ほとんど同型」(つまり余次元2以上のザリスキ閉集合をのぞいて同型)な代数多様体は双有理幾何学において重要な役割を果たす. 当該年度は,Ching-Jui Lai氏(国立成功大学), Sz-Sheng Wang氏(Academia Sinica)との共同研究で,いくつかの3次元カラビ-ヤウ多様体の双有理幾何を研究し,それらのQ分解的正規射影代数多様体をすべて求めた.特にこれらのカラビ-ヤウ多様体に対しては,movable cone予想という,代数多様体上の直線束(の数値的同値類)がなす錘に関する予想が成り立つことを確認した. 代数多様体の射影空間への埋め込みが与えられた時,その定義多項式の間の関係式やその関係式の間の関係式等はシジジーと呼ばれる.「p番目までのシジジーが単純になる」とき,その埋め込みは条件(N_p)を満たすという.一般にこの条件が満たされるかどうかを確認するのは容易でないことが多いが,アーベル多様体の場合には,basepoint-freeness thresholdという不変量が小さいならば条件(N_p)が満たされることが,Pareschi氏,Jiang氏,Caucci氏らにより示されている.当該年度は,アーベル多様体上の射影束の普遍直線束が定める埋め込みの場合にその結果を一般化した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
正標数における双対欠損の良い記述が見つかっていないため.
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今後の研究の推進方策 |
複素数体上においては,トロピカル幾何を用いたトーリック多様体の双対欠損の記述が知られているので,正標数の場合にトロピカル幾何の観点から研究する.
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