研究課題
若手研究(B)
本研究では4森林小集水域で集水域の水文過程、窒素循環過程と大気降下物由来NO3-、硝化由来NO3-の関係を測定、解析した。その結果、降雨時の水移動経路が異なる集水域においても降雨時の大気降下物由来NO3-流出量は大きくは変わらないことが明らかにした。また、土壌中の窒素蓄積量と集水域からの窒素流出量の間に明瞭な関係はなく、土壌中の硝化速度違いが降雨時のNO3-流出量に影響していると考えられた。これらのことは、森林土壌中の窒素動態は森林流域からの窒素流出量に影響を与えるものの、表層流出水によるNO3-流出だけでは森林土壌中の窒素の蓄積には影響を与えないことを示唆している。
水域の富栄養化、飲料水質の低下を招くNO3-の大気降下物として陸域への供給が地球規模で増加している現在、大気降下物によるNO3-負荷増加が森林生態系からのNO3-流出量に与える影響を明らかにすることは学術的、社会的意義が大きい。本研究では森林生態系にもたらされるNO3-のうち森林生態系内の窒素循環過程に取り込まれない成分である” uncontrollable”な流出が一定量存在すること、それらは集水域の水移動特性、窒素循環特性には影響されていなかったことが明らかになった。これらのデータをもとに今後、他集水域のデータと比較し、森林に流入した窒素の流出プロセスについてより理解を進めることができる。
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