研究課題
若手研究(B)
1) 自作した化学発光酵素免疫測定を用い、非透析導入CKD患者血中OSTN濃度の測定を行ったところ、年齢と弱い負の相関を、eGFRと弱い正の相関を示した。さらに、測定前の骨折既往のある患者ではOSTN濃度が有意に低値であることを見い出した。また、アデニン負荷CKDモデルマウスにおいて、骨格筋・骨のOstn mRNA発現が有意に低下することを見い出した。2) Ostn-TgおよびNpr3のノックアウトマウスに対し腎線維化モデルである片側尿管結紮(UUO)を施し腎障害を検討したところ、Ostn-TgはWTマウスと比較し線維化の程度に変化はなく、Npr3-KOは線維化が悪化することを確認した。
近年、高齢者では骨格筋量の低下や骨粗鬆症などを生じ、運動能の低下を来すサルコペニアの概念が提唱されている。また、慢性腎臓病(CKD)においても類似した変化が生じ、腎予後だけでなく生活の質や生命予後をも悪化させるが、それらが生じるメカニズムについては十分解明されていない。本研究では、CKD患者において骨延長に寄与するオステオクリン(Ostn)が加齢や腎機能低下により血中濃度が低下することや、骨折歴のある患者ではない患者に比較して有意に血中濃度が低いことを見いだした。Ostnは分泌蛋白であるため、臨床応用されているANPと同様に、新たな治療標的となり得ることを示唆する結果であると考えられる。
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