大腸癌の3D微少環境構築モデルを利用した薬物療法に対する新規バイオマーカーの開発

• 研究課題/領域番号: 17K16564
• 研究種目: 若手研究(B)
• 配分区分: 基金
• 研究分野: 消化器外科学
• 研究機関: 独立行政法人国立病院機構(九州がんセンター臨床研究センター)
• 研究代表者: 杉山 雅彦 独立行政法人国立病院機構(九州がんセンター臨床研究センター), その他部局等, 消化管外科医師 (40751079)
• 研究期間 (年度): 2017-04-01 – 2019-03-31
• 研究課題ステータス: 完了 (2018年度)
• 配分額: 4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円); 2018年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円); 2017年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
• キーワード: 大腸癌 / 腫瘍免疫 / 癌幹細胞 / 免疫療法 / 腫瘍局在 / 医療

研究成果の概要

免疫抵抗性を獲得しているがん細胞の一部に対して、抗PD-1抗体薬や抗CTLA-4薬などの免疫チェックポイント分子阻害薬を用いることで抗腫瘍免疫をひきだす治療が臨床応用されています。一方で大腸癌においてはPD-1/PD-L1をブロックするメカニズムを用いた免疫チェックポイント分子阻害薬の効果は限定的であることが知られています。
われわれは大腸癌症例での遺伝子不安定性と腫瘍免疫抵抗性に関わる分子の発現解析をおこないました。この結果遺伝子不安定性の高い症例において腫瘍先進部において抗原提示、腫瘍免疫反応が行われていることを解明し、また臨床病理学的にいくつかの予後不良因子を同定しました。

研究成果の学術的意義や社会的意義

本邦における大腸癌の罹患率、死亡率は年々増加しており、治療に寄与するための病態解明が急務とされています。一方で複数の癌種において腫瘍の免疫抵抗性を解除することによって抗腫瘍免疫の再活性化をおこなう治療法が既に臨床の現場にもたらされており、多くの患者さんに福音となっています。大腸癌においても遺伝子不安定性の高い症例において治療が始まっています。
本研究は大腸癌と抗腫瘍免疫にかかわる分子の関わりの一端を臨床病理学的に明らかにしました。今後の大腸癌に対する抗腫瘍免疫治療の一助のなることが期待されます。しかし大腸癌に対する抗腫瘍免疫の効果は限定的であることからさらなる解明が求められることがわかりました。

研究成果

• [雑誌論文] Laparoscopic Proximal Gastrectomy Maintains Body Weight and Skeletal Muscle Better Than Total Gastrectomy (2018)
  • 著者名/発表者名: Sugiyama Masahiko、Oki Eiji、Ando Koji、Nakashima Yuichiro、Saeki Hiroshi、Maehara Yoshihiko
  • 雑誌名: World Journal of Surgery 巻: 42 号: 10 ページ: 3270-3276
  • DOI: 10.1007/s00268-018-4625-7
  • 査読あり
• [雑誌論文] Propensity Score Analysis of Regorafenib Versus Trifluridine/Tipiracil in Patients with Metastatic Colorectal Cancer Refractory to Standard Chemotherapy (REGOTAS): A Japanese Society for Cancer of the Colon and Rectum Multicenter Observational Study. Oncologist. (2018)
  • 著者名/発表者名: Moriwaki T, Fukuoka S, Taniguchi H, Takashima A, Kumekawa Y, Kajiwara T, Yamazaki K, Esaki T, Makiyama C, Denda T, Satake H, Suto T, Sugimoto N, Enomoto M, Ishikawa T, Kashiwada T, Sugiyama M, Komatsu Y, Okuyama H, Baba E, Sakai D, Watanabe T, Tamura T, Yamashita K, Gosho M, Shimada Y.
  • 雑誌名: Oncologist. 巻: 23 ページ: 7-15
  • 査読あり
• [雑誌論文] Prognostic value of BRAF V600E mutation and microsatellite instability in Japanese patients with sporadic colorectal cancer. (2018)
  • 著者名/発表者名: Nakaji Y, Oki E, Nakanishi R, Ando K, Sugiyama M, Nakashima Y, Yamashita N, Saeki H, Oda Y, Maehara Y.
  • 雑誌名: J Cancer Res Clin Oncol. 巻: 143 号: 1 ページ: 151-160
  • DOI: 10.1007/s00432-016-2275-4
  • 査読あり
• [雑誌論文] Sarcopenia is an independent predictor of complications after colorectal cancer surgery (2017)
  • 著者名/発表者名: Nakanishi Ryota、Oki Eiji、Sasaki Shun、Hirose Kosuke、Jogo Tomoko、Edahiro Keitaro、Korehisa Shotaro、Taniguchi Daisuke、Kudo Kensuke、Kurashige Junji、Sugiyama Masahiko、Nakashima Yuichiro、Ohgaki Kippei、Saeki Hiroshi、Maehara Yoshihiko
  • 雑誌名: Surgery Today 巻: 48 号: 2 ページ: 151-157
  • DOI: 10.1007/s00595-017-1564-0
  • 査読あり
• [雑誌論文] Clinical significance of programmed cell death-ligand 1 expression and the immune microenvironment at the invasive front of colorectal cancers with high microsatellite instability (2017)
  • 著者名/発表者名: Korehisa Shotaro、Oki Eiji、Iimori Makoto、Nakaji Yu、Shimokawa Mototsugu、Saeki Hiroshi、Okano Shinji、Oda Yoshinao、Maehara Yoshihiko
  • 雑誌名: International Journal of Cancer 巻: 142 号: 4 ページ: 822-832
  • DOI: 10.1002/ijc.31107
  • 査読あり
• [雑誌論文] Clinical Outcomes of Esophagojejunostomy in Totally Laparoscopic Total Gastrectomy (2017)
  • 著者名/発表者名: Sugiyama Masahiko、Oki Eiji、Ogaki Kippei、Morita Masaru、Sakaguchi Yoshihisa、Koga Satoshi、Saeki Hiroshi、Maehara Yoshihiko
  • 雑誌名: Surgical Laparoscopy, Endoscopy & Percutaneous Techniques 巻: 27 号: 4 ページ: 87-91
  • DOI: 10.1097/sle.0000000000000435
  • 査読あり
• [雑誌論文] Monitoring trifluridine incorporation in the peripheral blood mononuclear cells of colorectal cancer patients under trifluridine/tipiracil medication (2017)
  • 著者名/発表者名: Nakanishi Ryota、Kitao Hiroyuki、Kiniwa Mamoru、Morodomi Yosuke、Iimori Makoto、Kurashige Junji、Sugiyama Masahiko、Nakashima Yuichiro、Saeki Hiroshi、Oki Eiji、Maehara Yoshihiko
  • 雑誌名: Scientific Reports 巻: 7 号: 1 ページ: 16969-16969
  • DOI: 10.1038/s41598-017-17282-5
  • 査読あり / オープンアクセス
• [雑誌論文] Anal metastasis of rectal cancer?adenocarcinoma of squamous cells: a case report and literature review (2017)
  • 著者名/発表者名: Sasaki Shun、Sugiyama Masahiko、Nakaji Yu、Nakanishi Ryota、Nakashima Yuichiro、Saeki Hiroshi、Oki Eiji、Oda Yoshinao、Maehara Yoshihiko
  • 雑誌名: Surgical Case Reports 巻: 3 号: 1
  • DOI: 10.1186/s40792-017-0319-x
  • 査読あり
• [学会発表] Who is the candidate of conversion hepatectomy for initially unresectable colorectal liver metastasis (2018)
  • 著者名/発表者名: 杉山雅彦、香川正樹、中司悠、井口友宏、吉田大輔、太田光彦、杉町圭史、池部正彦、森田勝、藤也寸志
  • 学会等名: 第90回日本胃癌学会
• [学会発表] diverting stomaとして回腸人工肛門を造設した患者における術後合併症の検討 (2018)
  • 著者名/発表者名: 杉山雅彦、香川正樹、中司悠、井口友宏、吉田大輔、太田光彦、杉町圭史、池部正彦、森田勝、藤也寸志
  • 学会等名: 第73回日本消化器外科学会
• [学会発表] conversion手術に至る大腸癌肝限局転移例の治療戦略 (2018)
  • 著者名/発表者名: 杉山雅彦、香川正樹、中司悠、井口友宏、吉田大輔、太田光彦、杉町圭史、池部正彦、江崎泰斗、森田勝、藤也寸志
  • 学会等名: 第16回日本臨床腫瘍学会
• [学会発表] 高齢者大腸癌手術症例の特徴 (2018)
  • 著者名/発表者名: 杉山雅彦、香川正樹、中司悠、井口友宏、吉田大輔、太田光彦、杉町圭史、池部正彦、森田勝、藤也寸志
  • 学会等名: 第26回日本消化器関連学会（JDDW2018)
• [学会発表] 当院におけるTaTME併用括約筋温存直腸切除術の現況 (2018)
  • 著者名/発表者名: 杉山雅彦、香川正樹、中司悠、井口友宏、吉田大輔、太田光彦、杉町圭史、池部正彦、森田勝、藤也寸志
  • 学会等名: 第73回日本大腸肛門病学会
• [学会発表] 下部直腸癌に対する術前化学放射線療法の検討 (2018)
  • 著者名/発表者名: 杉山雅彦、香川正樹、中司悠、中ノ子智徳、井口友宏、太田光彦、杉町圭史、池部正彦、森田勝、藤也寸志
  • 学会等名: 第80回日本臨床外科学会
• [学会発表] 当院における腹腔鏡下TaTME併用括約筋温存直腸切除術の検討 (2018)
  • 著者名/発表者名: 杉山雅彦
  • 学会等名: 第31回日本内視鏡外科学会
• [学会発表] 腹腔鏡下噴門側胃切除術Double tract 再建法の短期成績の検討 (2017)
  • 著者名/発表者名: 杉山雅彦、沖英次、佐々木駿、城後友望子、広瀬皓介、谷口大介、是久翔太郎、枝廣圭太郎、堤亮介、田尻裕匡、西村章、中司悠、工藤健介、秋山真吾、中西良太、藏重淳二、中島雄一郎、佐伯浩司、前原喜彦
  • 学会等名: 第117回日本外科学会
• [学会発表] 散発性大腸癌における術前生検標本と切除標本を用いた免疫組織化学染色法によるBRAF（V600E）変異蛋白の解析 (2017)
  • 著者名/発表者名: 中司悠、沖英次、中西良太、西村章、堤亮介、工藤健介、枝廣圭太郎、是久翔太郎、谷口大介、城後友望子、佐々木駿、廣瀬晧介、杉山雅彦、中島雄一郎、佐伯浩司、小田義直、前原喜彦
  • 学会等名: 第117回日本外科学会
• [学会発表] 下部直腸癌に対する肛門温存手術の適応と成績 (2017)
  • 著者名/発表者名: 中西良太、沖英次、佐々木駿、城後友望子、廣瀬皓介、是久翔太郎、谷口大介、枝廣圭太郎、西村章、堤亮介、藏重淳二、杉山雅彦、中島雄一郎、佐伯浩司、前原喜彦
  • 学会等名: 第117回日本外科学会
• [学会発表] マイクロサテライト不安定性を示す（MSI-H）大腸癌におけるPD-L1 発現と局在の検討 (2017)
  • 著者名/発表者名: 是久翔太郎、沖英次、飯森真人、中西良太、中司悠、佐々木駿、城後友望子、廣瀬晧介、枝廣圭太郎、谷口大介、西村章、堤亮介、工藤健介、田尻裕匡、藏重淳二、中島雄一郎、杉山雅彦、佐伯浩司、小田義直、前原喜彦
  • 学会等名: 第117回日本外科学会
• [学会発表] 大腸低分化腺癌の臨床病理および遺伝子学的解析と予後の検討 (2017)
  • 著者名/発表者名: 城後友望子、沖英次、佐々木駿、廣瀬晧介、是久翔太郎、谷口大介、枝廣圭太郎、堤亮介、中司悠、西村章、工藤健介、秋山真吾、田尻裕匡、中西良太、杉山雅彦、中島雄一郎、佐伯浩司、小田義直、前原喜彦
  • 学会等名: 第117回日本外科学会
• [学会発表] 局所進行直腸癌に対する術前治療戦略の現状と問題点 (2017)
  • 著者名/発表者名: 杉山雅彦、沖英次、中西良太、藏重淳二、中島雄一郎、佐伯浩司、前原喜彦
  • 学会等名: 第72回日本消化器外科学会
• [学会発表] 原発巣の部位(右側/左側) から見た大腸癌肝転移切除後の予後予測因子の検討 (2017)
  • 著者名/発表者名: 中西良太、沖英次、本村貴志、杉山雅彦、中島雄一郎、藏重淳二、佐伯浩司、吉住朋晴、前原喜彦
  • 学会等名: 第72回日本消化器外科学会
• [学会発表] 当科における腹腔鏡下噴門側胃切除術と腹腔鏡下胃全摘術の短期成績の検討 (2017)
  • 著者名/発表者名: 杉山雅彦、沖英次、中司悠、中西良太、久保信英、安藤幸滋、中島雄一郎、吉田大輔、太田光彦、佐伯浩司、森田勝、藤也寸志、前原喜彦
  • 学会等名: 第27回九州内視鏡下外科手術研究会
• [学会発表] 大腸癌肝転移に対する薬物療法から肝切除に至る症例の原発腫瘍部位の検討 (2017)
  • 著者名/発表者名: 杉山雅彦、香川正樹、中司悠、井口友宏、吉田大輔、太田光彦、杉町圭史、池部正彦、江崎泰斗、森田勝、藤也寸志
  • 学会等名: 第42回日本大腸肛門病学会九州地方会