研究課題
若手研究(B)
ジョサマイシンは、1)ウイルスの感染効率には影響を与えておらず、2)感染してから出芽前までの宿主細胞内におけるウイルス因子の産生レベルに影響を与えていないことを示した。一方で、出芽した娘ウイルスの産生量が激減しており、本薬剤による抗ウイルス活性の作用点は、感染後半の出芽のタイミングに絞られ、出芽を制限している可能性を明らかにした。本薬剤による宿主細胞への賦活作用を介した抗ウイルス作用機序を可能性の一つとして追究する必要がある。また、アジスロマイシンについて、ウイルス粒子に直接作用することで、ウイルスのエンドサイトーシスを阻害する機能をもつことを明らかにした。
本研究で用いたジョサマイシンやアジスロマイシンはすでに承認されている抗菌薬であり、人体への安全性も担保されている。ジョサマイシンによる抗インフルエンザウイルス活性の作用機序が科学的に明らかとなれば、新規インフルエンザ治療薬として迅速に感染患者に処方できる(リポジショニング)という社会的意義がある。アジスロマイシンについては、抗ウイルス作用メカニズムの一端を明らかにすることができたため、同様に新規治療薬として利用できるものと期待される。現在、世界中で感染拡大している新型コロナウイルスもRNAウイルスであり、本研究で得られた成果の一部はコロナウイルス治療薬の開発にも役立つ可能性がある。
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J. Antibiot.
巻: 72 号: 10 ページ: 759-768
10.1038/s41429-019-0204-x
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