配分額 *注記 |
15,730千円 (直接経費: 13,900千円、間接経費: 1,830千円)
2007年度: 7,930千円 (直接経費: 6,100千円、間接経費: 1,830千円)
2006年度: 7,800千円 (直接経費: 7,800千円)
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研究概要 |
脳視床下部と様々な末梢組織で合成されるオキシトシン(OXT;それぞれcentral oxytocin、peripheral oxytocin)のGPCR型受容体OXTRの生体での機能を明らかにする為、本研究はOXTR遺伝子欠損マウスの作製と解析により開始した。そしてOXT-OXTR系がマウスの攻撃行動、社会的認知行動、母性行動、子供の母親に対する行動等の制御-樹立やこれらを正常に維持するのに必須の働きを持つことを明らかとしてきた。さらに予想を越えるOXT系の役割としてOXTR遺伝子欠損雄マウスにおいて特異的に見出された肥満や体温調節機能の異常は、OXT系の機能が動物の社会行動制御を越え、その生理的な恒常性維持にまで及んでいることを示すこととなった。また、今後のOXT系の機能解析研究は脳内のどの神経核で働くOXTRが如何なる社会行動、や如何なる生理活動に関わるのかを領域特異的-ニューロン特異的レベルで詳述するまでを要求する段階に入り始めており、こうしたレベルでの研究に応える為、我々は新たに生きたOTRニューロンを識別出来るOTR-VenusKnockinマウスの開発を行った。このマウスにより、寒冷曝露時の脳内c-Fos局在解析では複数の領域でOTR-venus発現ニューロンとc-Fos陽性の共局在を認めるなど、OXTRニューロンが寒冷シグナルの脳内情報処理に関わっていることを世界で初めて明らかにすることに成功した。これらの結果はTakayanagi, Y. et al., Neuroreport (In press) (2008)、Kasahara, Y. et al., Biosci. Biotechnol. Biochem. 71, 3122 (2007)にて発表され、Yoshida, M. et al., "Novel functional interactions between oxytocin and serotonin revealed in oxytocin receptor-venus knock-in mice.",及びKasahara, Y. et al. "Novel thermoregulatory function of Oxytocin receptor system."として投稿、或いは投稿準備中にまで至っている。
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