研究課題
基盤研究(C)
I.ヒト炎症性腸疾患におけるCD30シグナルの関与の検討・炎症性腸疾患患者の血清を採取し、ELISA法により可溶性CD30濃度を測定した。健常入12症例、潰瘍性大腸炎(UC)患者25症例、クローン病(CD)患者17症例の血清中の可溶性CD30濃度を測定したところ、UC,CDいずれにおいても、健常入と比較して有意に可溶性CD30濃度が上昇していた。・可溶性CD30濃度とUCならびにCD患者の疾患活動性とを対比し相関を検討した。UC患者9症例、CD患者5症例について治療前後の可溶性CD30濃度を測定したところ、ほぼすべての症例において治療後に低下を認めた。また、疾患活動性スコアと可溶性CD30濃度の比較検討では、UC,CDいずれにおいても可溶性CD30濃度と疾患活動性スコアの正の相関を認めた。・炎症性腸疾患患者の生検標本のCD30免疫組織染色を施行した。UCならびにCD患者いずれにおいても粘膜上皮にCD30陽性細胞が認められた。II.マウス腸炎モデルにおけるCD30シグナルの関与の検討・腸炎マウス血清中の可溶性CD30を測定したところ、腸炎の程度に相関して可溶性CD30濃度が上昇した。・野生株(BALB/c)ならびにCD30ligandノックアウトマウス(30LKO)に抗CD3抗体を腹腔内投与し、24時間後の小腸病理組織像、体重の変化で腸炎の程度を評価した。その結果30LKOでは野生株と比較して、有意に病理組織像ならびに体重減少の抑制が認められた。・野生株(BALB/c)マウスにCD30Igを投与したところ、腸炎が抑制された。これらの結果より、抗CD30抗体等のCD30シグナルを抑制する薬品が炎症性腸疾患の治療薬となり得る可能性が示唆された。
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