研究課題
基盤研究(C)
Epo 遺伝子の近傍180 kbp の制御領域下で GFP を発現するトランスジェニックマウス(wt-Epo-GFP Tg)を作製し、マウス個体におけるEpo産生細胞を同定した。Epo遺伝子の発現制御におけるGATA配列の必要性を個体レベルで検証するために、GATA配列に点変異を導入した変異トランスジーンを持つマウス(mut-Epo-GFP Tg)を作製し、解析をした。wt-Epo-GFP Tgマウス、mut-Epo-GFP Tgマウスともに、貧血誘導後の腎尿細管間質細胞および中心静脈周辺の肝実質細胞でGFPの発現が検出された。このGFP発現は内在性Epo遺伝子の発現と同調していた。しかし、mut-Ebo-GFP Tgマウスでは、腎遠位尿細管・集合管、肝内胆管、気管支上皮、胸腺髄質などの上皮系細胞において、恒常的にGFPを発現していた。次に、上皮系細胞でEpo遺伝子発現を抑制しているGATA因子を同定する目的で、GATA因子の発現解析を行った。遠位尿細管および集合管では、GATA-2、GATA-3が発現していることを明らかにした。以上のことからEpo遺伝子のプロモーター領域に存在するGATA配列は、個体において、恒常的にEpo遺伝子の異所性発現を抑制していることを明らかにした。また、遠位尿細管や集合管での抑制には、GATA-2、GATA-3が関与していることが示唆された。また従来不明であったEpoの腎発現制御領域(kidney inducible element)が-17〜-15kbpに存在することを同定した。培養細胞系において、低酸素下でも2-OX投与はHIF-1α鎖の分解を促進し、VEGF産生抑制および血管新生抑制効果を示すこと、腫瘍細胞皮下移植モデルマウスを用いた検討では、2-OX局所投与は腫瘍の発育を抑制することを認めた。2-OX非含有チャンバー移植マウスと比較して、2-OX含有チャンバー移植マウスの背部皮下における血管分布量は2-OXの用量依存的に減少し、かつ、腫瘍血管特有の屈折像が観察されなくなった。また、腫瘍細胞皮下移植モデルマウス系の検討では、2-OX腹腔内投与は腫瘍の発育を抑制した。以上の結果より2-OXは新たな抗腫瘍血管阻害剤となりうることが示唆された。
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