研究課題
基盤研究(C)
lL-27は,p28蛋白と,Epstein-Barr virus-induced gene 3(EBI3)のヘテロダイマーからなるサイトカインである.そのレセプターはWSX-1とgp130によって構成され,ナイーブCD4陽性細胞を含むさまざまな細胞に発現している.IL-17レセプター複合体の下流のシグナル伝達には、JAK1/STAT1の活性化が関与する。IL-27がナイーヴCD4陽性細胞に作用すると、T-betの発現が誘導され、それにひきつづいてIL-12Rβの誘導が起こる。IL-27はTh1免疫応答に必須の分子であり,ナイーヴCD4陽性細胞に作用してTh1分化の最初期段階を誘導すること、またIL-12と協調的にはたらいてIFN-γの産生を促進することが知られている.また最近になって、IL-27はSTAT1依存的にTh-17細胞分化を抑制することが報告された。これらの多彩な生理作用により、IL-27は発癌、アレルギー、炎症など種々の病態に広く関わっている重要なサイトカインであると考えられている。我々は本プロジェクトにおいて、IL-27がウイルス感染に対する新しい防御機転を誘導する機構を見出した。脳心筋炎ウイルス(EMCV)を感染させたC57BL/6マウスにIL-27遺伝子をin vivo導入し、その後のマウスの生存を観察したところ、遺伝子非導入群は感染後10日以内に全例死亡したのに対して,IL-27遺伝子を投与したマウスは100%が生き延びた。この抗ウイルス効果の機序を解明する目的で、in vitroの感染実験を行なったところ、IL-27は、獲得免疫応答を介するのではなく、ウイルス感染した心筋細胞に直接作用することによってウイルス複製を抑制することが強く示唆された。細胞内の抗ウイルス自然免疫応答として、MDA5パスウェイの存在が知られているが、MDA5の発現調節についてはほとんど明らかにされていない。そこで、研究代表者らは、IL-27による抗ウイルス機構が、MDA5を介している可能性を検討した。胎生16日目のマウスより心筋細胞の初代培養を樹立し、IL-27で刺激したところ、MDA5が、メッセージレベルで著明に元進した。さらに、IL-27処理された細胞は、無処理の細胞と比較して、感染直後から多量のIFN-βを産生することが観察された。またMDA5を標的とするsiRNAを心筋細胞に導入することによってウイルス抑制効果は完全に解除されることも明らかにした。これらの結果から、IL-27シグナルが心筋細胞内に入力されるとMDA5が充進し、ウイルス感染によって惹起されるMDA5パスウェイの活性化が増強され、その結果、感染初期からの強力なインターフェロン産生の誘導と、ウイルス複製の抑制がもたらされることが示された。
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