研究概要 |
心臓のイオンチャネルのひとつであるNaチャネルを画像化しその病態を解析することを目的に、1)Naチャネルに特異的に親和性のある陽電子放射核種標識トレーサ^<11>C-diphenylhidantoin(DPH)を開発、2)対向型ポジトロンイメージング装置を用いて小動物(ラット)を撮像、3)このデータをもとに、動態解析を行い、心臓のNaチャネルを画像化、4)マイクロドーズ投与時と薬理量投与時の体内動態、特に心筋への集積の差について検討する。 ラット(雄、250g、n=15)を5群に分けた(a:マイクロドーズ(2μgの^<11>C-DPH)b:a+0.5mg/kg,c:a+1.0mg/kg, d:a+3.0mg/kg,and e:a+25mg/kgのDPHを^<11>C-DPHとともに投与)。尾静脈からボーラス投与し、投与直後から対向型ポジトロンイメージング装置で全身撮像を連続20分間行った(1画像/1秒)。投与直後に腹部大静脈から心腔内への^<11>C-DPHの流入が認められ、心臓の位置が同定された。投与後10分〜15分に、心筋への集積のピークが認められた。投与後20分におけるa〜e群の心筋集積量(RUV)は、1.51±0.20%,1.81±0.06%,1.95±0.05%,1.99±0.09%,and 2.62±0.09%であった。 ^<11>C-DPHと非放射性DPHのco-injectionにより、心筋への^<11>C-DPH集積が変化したことから、^<11>C-DPH由来の放射能濃度はNaチャネル特異的結合を反映していると考えられた。また、集積量が投与量依存性であることから、マイクロドーズ時と薬理量投与時では薬物動態が異なることが明らかにされた。
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