研究課題
基盤研究(C)
【目的】進行性腎細胞癌に対するVEGF標的治療は20〜40%に抗腫瘍効果を認めるが、事前に効果を予測するマーカーの同定が望まれる。マウスの正常及び腫瘍モデル血管の形態学的検討においてVEGF依存性に増殖・維持される血管の内皮細胞には多数のEndothelial fenestration (EF)が発現しており、RCCの腫瘍血管においても同様の形態学的特徴がVEGF標的治療の効果を予測するバイオマーカーとなりうるか検討を行った。【方法】CC-RCC手術検体を用いて電子顕微鏡下にEFを同定・定量化し、VHL変異の有無との相関を調べた。また、VHL-/-RCC細胞株786-OのWt-VHL再導入株(WT8)、mock導入株(pRC3)およびWT8のHIF2α発現株(WT8 HIF2α P531A)を用いてxenograftを作製し、EF発現量と抗VEGF抗体(bevacizumab)による抗腫瘍効果との相関を検討した。【結果】VHL変異を有するRCC検体は野生型に比べEFの発現が多く認められた。xenograft腫瘍血管においても、pRC3はWT8に比べEFを多く認め、bevacizumab投与によりpRC3のみ有意に腫瘍増殖が抑制され、腫瘍血管密度及びEF発現量が減少した。HIFの恒常的活性化によりpRC3と同等にVEGFを強発現するWT8 HIF2α 531AにおいてもEF発現は増加せず、bevacizumabによる腫瘍抑制効果は認められなかった。【総括】VHL変異を有するCC-RCCはVEGF依存性腫瘍血管が多く存在し、VEGF標的治療に対する効果が高い可能性が示唆された。HIF、VEGFを介さないpVHLの機能がVEGF依存性血管の増殖・維持に関与していると推察されることから、VEGF標的治療の対象症例を選択する上でEFは形態学的マーカーとして有用であると考えられた。
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Br J Cancer 96
ページ: 1788-1795
Am J Physiol Heart Circ Physiol 290
ページ: 560-576
Am J Physiol Heart Circ Physiol. 290