研究概要 |
本研究は、高齢者や脊髄損傷者を対象とした、生活習慣病を予防・改善するための有酸素運動法を開発することを目的とした。この方法として皮膚冷却刺激を用い、この刺激がある場合に運動中の酸素摂取量が増大するという仮説を検討することを目的とした。平成19年度は、高齢者(n=5)を対象とした。各被験者に、70wattsに相当する自転車運動を6分間行わせた。運動中は、右手を冷水(14.3±0.8℃,平均±標準偏差)に浸した。また、各被験者は冷却刺激の無い自転車運動も行わせた。これら2種類の運動は同一日に順不同で行った。各運動の間には20分以上の安静休息期を置いた。運動中の酸素摂取量(VO_2)の変化を指数近似式によりフィッティングし、各変数の運動開始直前からの増加量(Amp)、増加開始までの時間遅れ(Td)、時定数(Tc)、および平均反応時間(MRT,Td+Tc)を求め、冷却刺激有の場合(C)と無しの場合(N)で比較した。指数近似解析により得られた各パラメーターは以下の通りである。 C条件 Amp:789±337ml・min^<-1>, Td:17±11sec, Tc:36±16sec, MRT:53±6sec N条件 Amp:801±308ml・min^<-1>, Td:9±11sec, Tc:46±14sec, MRT:55±6sec 条件間で有意な差は認められず、本研究で用いた冷却刺激では酸素摂取量を高める効果が少ないことが明らかとなった。冷却強度や冷却面積などの条件によっては酸素摂取動態が変動する可能性もある。この点については今後の検討課題である。
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