研究概要 |
約400症例について、診断のreveiwとともに、免疫染色を中心として、現在まで単にびまん性大細胞型リンパ腫(Diffuse large B-cell lymphoma, DLBCL)と診断されていた症例について、再評価を行った。主にCD10,Mum1,Bcl-6によって、濾胞中心細胞由来とそれ以外に分類することを試みた。 1)免疫染色による症例の抽出と検索;397症例の層別化を試み、組織型、臨床情報、免疫染色結果を、データベースとして構築した。Bcl-6,MUM-1の検索と併せ、DLBCLをGerminal center cell type(GCB type)と、non-Germinal center cell type(non-GCB type)に層別化した。その過程で、臓器特異性が明らかになってきた。 2)DLBCLの二群の比率は、発生臓器によって異なる傾向を示した。予後不良とされるnon-GCB typeの頻度が特に多いものは、睾丸、intravascular lyphomatosisなどであり、文献報告と同様の結果を示していた。 3)新しい知見として、胃と十二指腸の表現型は有意差を持って異なることが判明した。これは、諸臓器の免疫学的諸条件の違い、低悪性度リンパ腫(胃はMALTリンパ腫、十二指腸は濾胞性リンパ腫)からの高悪性度化の症例を含む可能性などが考えられる 4)新しい知見として、Age related EBV-associated LPDについては、全例 non-GCB typeであることが判明した。DLBCLにおける分化段階とEBVの関与は、ある程度決まっている可能性がある。 今回得られた膨大なデータベースの構築に成功した。さまざまな視点からの研究が可能であり、今後とも発展的な知見が得られる基盤を得る事ができた。
|