研究概要 |
蓄積された症例について、免疫染色を中心として、現在まで単にびまん性大細胞型リンパ腫と診断されていた症例について、再評価を行った。CD10,Mum1,Bcl-6によって、濾胞中心細胞由来とそれ以外に分類することを試みた。 1)免疫染色による症例の抽出と検索;CD10陽性症例の抽出を、当初50症例を目標としていたが、18年度の研究によって、136症例を得ることができた。その中で、臓器特異性が明らかになってきた。CD10陽性症例の内訳は、リンパ節54/129、後腹膜腫瘍10/13、縦隔リンパ節3/7、骨髄・骨6/11、大腸7/11、胃13/40、小腸11/21、扁桃・咽頭9/21、睾丸2/10、皮膚・皮下4/6、その他17/38となっている。また、最近提唱されている、Senile EBV associated lymphoproliferative disorderについては、全例、CD10陰性であり、濾胞中心由来のリンパ腫は含まれていないこと、また、Intravascular lymphomatosisについては、全例Mum1陽性であり、CD10の有無に関わらず、やはり特徴的な分化段階を共有するものとおもわれる。 2)CD10陽性細胞の臨床病理学的特徴;いままでの報告では、CD10,Mum1,Bcl-6によって、分別可能であるとされているが、同時に、複数表現型を同時に発現している症例が存在することが明らかになった。それらの症例について、他の表現型と併せて検討する予定である。 今後、臨床的な特徴など、多面的な視点から検討し、低悪性度B細胞性リンパ腫の特徴として挙げられる遺伝子転座につき、比較検索を行う予定である。
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