研究概要 |
盲、聾、養護学校に在籍する児童生徒の障害の重度重複化が進んでいる。文部科学省が示す資料においても各種の学校に在籍する重度重複学級在籍者数は増加の一途を辿り,今後の特別支援教育において,重度重複障害児に対する教育は重要な課題として取り上げられる必要がある。 以上の現状を踏まえ,本研究の目的は,現在,重度重複障害児への発達支援として動作学習を中核に据えた方法論の適用し,その評価を行うことであった。研究期間は2年間であり,本年度は最終年度となる。 本年度は,(1)収集されたデータの分析(2)学会、学術論文での研究成果報告の2点を行動目標として取り組んだ。重度の障がいがある子ども達への支援において,脈拍値や血中酸素飽和度といった生理学的なデータと行動、心理的変容の関連性について検討を行った。その結果,身体の動きに困難さが見られる重度重複障害児においても,動きの獲得に伴って,発声量の増加や肯定的な表情表出が見られることが明らかになった。一方,研究の課題として,重度の障がいがある子ども達の中には,健康問題などに配慮を要するケースも多く,研究を進めていく上では,医師や理学療法士といった専門家との連携が必要であると感じられた。今後の研究では,他職種との共同研究という形態を考えている。 冒頭で述べたように,重度重複障害児への教育は今後の特別支援教育を考える上で課緊の際題であると言える。教育現場との連携を図りながら,今回の研究をさらに進めていく予定である。
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