研究課題
基盤研究(B)
コラーゲンはヒトの乾燥重量の25%を占める構造蛋白質であり、小胞体からゴルジ体を経て細胞外へ分泌される。本研究では、カルシウム結合蛋白質ALG-2を中心としたカルシウム応答性制御因子がコラーゲンの小胞体からの搬出制御を司る分子メカニズムの解明を目指し、ALG-2の作用標的となる分子をその結合モチーフによって探索し、また近接依存性標識法を用いた解析から同定した。そして、得られた複数の制御因子候補の相互作用ネットワークと細胞内局在、および生理機能を生化学的、分子細胞生物学的解析により明らかにした。
分泌蛋白質のほとんどは、小胞体で合成されゴルジ体を経由して細胞外に分泌される。細胞外マトリクスの主要成分である線維性コラーゲンは、その長さが300 nmにもおよび、小胞体からどのように搬出され細胞外まで輸送されるのか不明であった。近年、線維性コラーゲン輸送の制御因子の同定がすすめられ、その中でALG-2はカルシウムに応答する因子である。本研究では、ALG-2の新たな標的蛋白質を同定し、小胞体内腔のカルシウム濃度の恒常性維持に関わる可能性を示した。また、小胞体からの搬出の制御蛋白質候補も新たに同定されており、線維症などコラーゲン分泌の異常が関連する疾患の新奇の創薬標的になることも期待される。
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