研究課題/領域番号 |
18H05212
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研究種目 |
特別推進研究
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
理工系
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
藤原 康文 大阪大学, 工学研究科, 教授 (10181421)
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研究分担者 |
舘林 潤 大阪大学, 工学研究科, 准教授 (40558805)
市川 修平 大阪大学, 工学研究科, 助教 (50803673)
芦田 昌明 大阪大学, 基礎工学研究科, 教授 (60240818)
佐藤 和則 大阪大学, 工学研究科, 准教授 (60379097)
石原 一 大阪大学, 基礎工学研究科, 教授 (60273611)
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研究期間 (年度) |
2018-04-23 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
637,390千円 (直接経費: 490,300千円、間接経費: 147,090千円)
2022年度: 70,980千円 (直接経費: 54,600千円、間接経費: 16,380千円)
2021年度: 73,190千円 (直接経費: 56,300千円、間接経費: 16,890千円)
2020年度: 133,380千円 (直接経費: 102,600千円、間接経費: 30,780千円)
2019年度: 221,260千円 (直接経費: 170,200千円、間接経費: 51,060千円)
2018年度: 138,580千円 (直接経費: 106,600千円、間接経費: 31,980千円)
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キーワード | 希土類元素 / 内殻遷移 / フォトン場制御 / 発光ダイオード |
研究実績の概要 |
【課題1】光励起下でのフォトン場制御によるEu発光機能の開拓: <課題1-1>Eu添加GaNマイクロディスク光共振器に関する作製プロセスの最適化により、世界最高値である実測Q値9,680を実現した。Eu発光のPurcell効果による大幅な短寿命化(30 us)を観測した。 <課題1-2>Eu添加GaN 2次元フォトニック結晶光共振器において、Line-defect (LN)型に比べて、Hexagonal-defect (HN)型の共振器Q値が空気孔の形状不均一の影響を受けにくいことを明らかにした。H3型を作製し、共振器モードとEu発光のカップリングを観測した。 <課題1-3>Eu添加GaNにおいて、光学利得の波長依存性と一致したEu発光増強を観測し、Amplified Spontaneous Emissionの発生を実証した。 【課題2】電流励起下でのフォトン場制御によるEu発光機能の開拓: <課題2-1>n型GaNを成長用基板として、Al0.18In0.82N /GaN DBRを有する垂直共振器型Eu添加GaNマイクロ光共振器LEDを作製し、75倍のEu発光増強を実現した。 <課題2-2>架橋構造を有する直上電極型Eu添加GaNマイクロディスク共振器LEDについて、電極形状と引き出し線幅がwhispering galleryモードに与える影響についてシミュレーションを行い、最適値を決定した。 【課題3】フルカラー化への展開と集積化: <課題3-1>Tm,Mg共添加AlxGa1-xNを発光層とするLEDにおいて、Tmイオンに起因する明瞭な青色発光を得ることに世界で初めて成功した。 <課題3-2>Tb添加母体をAlxGa1-xNにすることにより、光励起下で緑色発光を含む、Tbイオンに起因する明瞭な発光を観測した。LEDを試作し、電流注入下でTb発光の観測に世界で初めて成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
Eu添加GaNにおいて、光学利得スペクトルに対応したEu発光増強を観測し、Amplified Spontaneous Emissionの発生を世界で初めて実証したことは大きな一歩である。誘導放出の実現に向けて、フォトン場制御との融合が求められるが、その一つであるマイクロディスク光共振器において、プロセス技術の最適化により、GaN系光共振器では世界最高値の実測Q値を実現した。また、2次元フォトニック結晶光共振器において、空気孔構造の不均一の影響を受けにくい欠陥配置の設計が進んでおり、更なる高Q値を有する光共振器の実現が期待される。 一方、希土類添加半導体を用いた青色あるいは緑色LEDの実現に向けて、TmあるいはTbイオンの内殻遷移に起因する青色、緑色発光を光励起のみならず、電流注入下で観測することに世界で初めて成功しており、波長超安定光源として世界的に脚光を浴びている。
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今後の研究の推進方策 |
実験および理論の両面からのこれまでの知見を結集し、フォトン場制御による究極的な希土類発光機能の実現可能性を 、「光励起下」はもちろんのこと、「電流励起下」で実証する。 【課題1】光励起下でのフォトン場制御によるEu発光機能の開拓: <課題1-1>Eu添加GaN 2次元フォトニック結晶光共振器の作製とEu発光機能の評価:Euの光学利得に鑑み、共振器Q値が10,000を超える2次元フォトニック結晶光共振器を作製する。Purcell効果に起因する究極的なEu発光機能の発現を実証する。 <課題1-2>超構造を有するEu添加GaNにおけるEu発光増強の観測:理論に裏打ちされたEu添加層と無添加層からなる超構造を作製し、Euイオン間の相互作用による超蛍光の観測可能性に挑戦する。 【課題2】電流励起下でのフォトン場制御によるEu発光機能の開拓: <課題2-1>垂直共振器型Eu添加GaNマイクロ光共振器LEDの作製とEu 発光機能の評価:導電性誘電体DBRを有するEu添加GaNマイクロ光共振器LEDを作製し、電流注入下での更なるEu発光増強を実現する。 <課題2-2>Eu添加GaNマイクロディスク共振器LEDの作製とEu発光機能の評価:光励起下で観測されたPurcell効果を電流注入下で実現する。 【課題3】フルカラー化への展開と集積化: <課題3-1>Tb添加GaNにおけるTb発光機能制御とLED化: Tb添加GaN LEDの更なる高輝度化と緑色発光の選択的抽出に取り組む。 <課題3-2>フルカラーLEDの集積化:既にInGaN量子井戸構造を発光層とする青色/緑色LEDとEu添加GaN赤色LEDの1チップ集積化に成功している。小型・超高精細マイクロLEDディスプレイへの応用を念頭に、チップサイズの微細化に取り組むとともに、緑色LEDをTb添加GaN LEDに置き換えた集積化LEDの実現可能性を明らかにする。
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評価記号 |
中間評価所見 (区分)
A: 研究領域の設定目的に照らして、期待どおりの進展が認められる
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